第103話 美容院

田舎でヘアサロンを見つけるのは苦労する。

ないわけではない。あるのだが、客層が違うと仕上がりのテイストが違うのだ。

それから、噂話の巣窟だったりするので、あまり自分とは接点のない口の堅いスタッフのお店を見つけなくてはならない。


こちらでよく聞くヘアサロンに初めて行って、何度も毛先だけに軽くパーマをして

少し伸びて寝ぐせがついてもふわっと誤魔化せる感じにしてほしい、ラーメンの麺みたいにはしないでほしいと言ったのに、見事にラーメンヘアにされて、翌日泣く泣く自分でストレートパーマ液で伸ばしたことがあった。

年齢層高いからか、キツイパーマが得意そうな店だったもんなあとそこへ行った自分に反省。


反省ついでに、帰省する際にそっちでヘアサロンへ行けばいいやということになり、田舎で髪を切ることはしなくなった。


子どもが学校に行くようになると、さすがに帰省の回数も減って、こちらで本格的に探さねばとなって、また困った。

オシャレ気なヘアサロンが出来ていたなあと思いだし、ふらっとお店に立ち寄ったら、ものすごく不機嫌な顔のオーナーが

「予約がない人はお断りです。」と言って、予約とりましょうかとかすみませんとか一切なかったので、ぷんすかしながら帰ってきた。

ちょうどお客さんが入っていて対応中だったのだとは思うが、街でそんな態度をされたことがなかったから驚いたよ。

腹が立ったので、友達にもそこは絶対に行くなというくらい。


市内ではないが、まあまあ評判のいいヘアサロンを夫が見つけてくれて、そこへはわりと長いこと通ったのだが、どうもエアコンを節約しているお店らしく、平日に行くとどんな季節でも窓が開けられていて、夏は汗だく、冬は震えるという辛い状況。

スタッフも最初に対応してくれた若い男性以外が不愛想で腕もあまりよくなく、我慢して通っていたが、市内に良さそうなお店を発見して、行くのを辞めてしまった。


今は市内で噂話をしない、口の堅い丁寧なお店に通っている。


カットとカラーでそれなりの金額を払うのだから、気分よくやってくれるお店がいい。

こちらが主婦だとわかるといやな噂話をしたり、妙にオバサン臭いカットにしたり、雑な扱いするスタッフやオーナーのお店なんか御免被る。

街ではそんなお店はすぐに皆が知ることになって、誰も通わなくなるが、どうもそんな感じのお店でもなぜか固定客がいるのか潰れないんだよねえ。


その近所の人が渋々通っているのかな。


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