第101話 髪の色

我が子たちは大学生になって家を出てから、髪の色を変えて楽しんでいる。

楽しそうで何より。


私はといえば、自分の家でカラーマニュキュアを買ってきて試したことはあったが

あまり思ったような感じに仕上がらない上に髪も傷んだので、若い頃は、ずっと髪の色を変えずにきていた。


いつの間にか茶髪のお母さんたちが周りにも増えてきて、ヘアサロンでカットしてもらう度に「ヘアカラーしませんか?」と言われるようになった。

そう、若い娘さんたちもおばさんたちもみんな茶髪の時代があった。その時ね。

腰痛持ちなので、長い時間座りっぱなしになるのもイヤで断り続けていた。

古いヘアサロンの椅子って、どうも腰に悪い気がする。

ヘアカットだけに行っても、毎回腰が痛くて困ったくらい。


下の子が上の子と同じ少し離れた高校に行くことが決まってから、急に何かが吹っ切れて、金髪に近い色に髪を染めてみた。

ヘアサロンでやってもらったのだけど。


それまでは田舎の狭い世界で子どもの手前あまり目立ち過ぎないようにしてきていたが、もう関係ないやと思ったら、楽しくなってきてほぼ金髪に。

夫のOKも貰っていた。


街でも黒髪の大人しそうな人に駅でぶつかってくるオジサンとかいるようだけれど、金髪とか派手な人にはそういう人間は寄ってこないよね。

それと同じで、ほぼ金髪にしたら、微妙にメンドクサイ人々が近づいてこなくなったりして快適になったのだ。早くそうすれば良かったと思ったくらいだ。


今は白髪が目立つから、白髪染めになり、明るい茶髪にしてもらっている。

ちょっと伸びても明るければ白髪が目立ちにくいということで。


ほぼ金髪時代には、なぜか子どもの部活のチームの子たちから私にハーフ疑惑が出たりして、それも愉快だった。

応援に行くと、ちらちらひそひそしてると思ったら、そんなこと考えていたのね。


子どもはノリノリで「お母さんハーフだよ。大阪と熊本の。」と答えたらしい。

完璧に日本人だ。それはハーフとは言わない。

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