第99話 方言

夫は県庁所在地生まれで、県庁所在地のベッドタウン育ちなので

その県のスタンダードな方言を操る人間である。

私はよそから来ていて、すべての言葉のイントネーションが違う。


そして、今現在県庁所在地から最も遠い地域に住んでいる。

言葉はスタンダードから離れたものが使われている。


今住んでいる場所の方言はなぜか私の故郷の方言にやや近いのだ。

向こうが何を言っているかわかるし、こちらも伝わる。


夫と子どもたちは、こちらの言葉もわかるがほぼ使わない。

スタンダードな方を常に使っている。

これはわざとそうしてるというよりも、家の中での会話がスタンダードなので

そうなってしまうというのが正しい。


これが気に入らないのか、小中の子どもの同級生の中には

「お前なまってる!」とはやし立てる子もいた。

なまってるって…逆でしょと家族で大笑いしたのだが

どうも本気で言っていたらしくて、それに驚いたのだ。


コンプレックスの裏返しなんだろうな。

彼らは今何を思うのだろうか。


街へ出て、「やだ、なまってる」と言われて泣くのかもしれない。

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