第94話 タクシー

高齢者はみんな免許を返して、普段はタクシー使えばいいじゃんみたいな

話が街の人からは気軽に出てくるが、タクシーも田舎ではわざわざ電話で

予約したり呼んだりしなくてはならない。


それも、最近知ったのだが、タクシーは24時間営業じゃないらしい。


私は実家の母の家事能力を知っているので、里帰り出産を選ばなかった。

夫が仕事で家をあけている間に産気づいたりしたら、タクシーを呼べと

言われていたが、今はそれができないようだ。

深夜や早朝だったらアウト。


うちは車が一台だけなので、夫が乗って出てしまうと、私は動けなくなる。

それで他の家よりもタクシーを使う機会がでてくる。


病院に送って行ってもらって、帰りはタクシーとか。


タクシーも特急が停車する駅にしか見かけない。

街のように長い列に並ぶなんてことはなく、ほぼ並ばずに乗れる。


街のタクシーよりも年季の入った車体に乗せて貰って、世間話をしながら

自宅に向かってもらう。


「ああ、前にこのあたりで〇県出身の人を乗せたことがあるんですよ~」


それ私。

その話、タクシーに乗るこのあたりの人みんなにするの?

うわー。



前にもたいした話はしていないのだが、よそから来た人を話題にしてしまうんだと

ショックを受けた。

出身地とかどうしてここに住んでいるかくらいしか話してないはず。


私の話を私にするんだと・・・



子どもたちも学校帰りにタクシーに数回乗ったことがあったが

それはそれは親切にしてもらったそうで、プラスマイナスゼロかなあと

自分の中で整理している。

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