第78話 バレンタイン

チョコレート。


私が学生時代にバブルが破綻したけれど、あの辺りでも中高生でなかったら

手作りチョコなんてことはなくて、デパートであれこれ探してくるものだった。


義理チョコで配るものも見栄えがしながらお手頃価格というのがあった。

バレンタインデー前の週末にまとめて買いに出かけていたなあ。

美しい飾り付け、高級メーカーのチョコを見て楽しかった。


今は小さい頃から義理チョコならぬ「友チョコ」というものを

家で手作りしてみんなで交換する日になってしまった。

この習慣はかなりの労力が必要。


この時期には100均に手作りするための型やラッピングする為の商品が

ずらっと並ぶ。

なくならないうちに買い込む。

セレブじゃないから、なるべく節約する。


これが女子だけではなく器用な料理男子も友チョコに参戦してくるので

そこも数に入れて親子でチョコを製作しなくてはならない。


「大変だねえ」と夫は見ている。


今は私が夫に作るだけの日になった。

去年は「ダイエットしてるから」と言っていた夫に遠慮して作らなかったら

ものすごーく寂しそうな顔をしていたので、今年は特に心をこめて

作ろうと思っている。


田舎のショッピングセンターでもこの時期は少しお高めのチョコが並ぶには並ぶのだけれど、私が大学生の頃に感じていたキラメキはない。

今は高級チョコはお姉さんがたのご褒美チョコとして楽しまれているよう。


すぐ近くに野菜が売られているから、どうもときめかないんだよなあ。

いつもはトイレットペーパーやティッシュペーパーを並べている場所に

チョコが並べられていて、モノは変わらないとしてもイメージ的に

こういうチョコはデパートで買いたいなあと思ったりする。


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