第73話 大人だけど大人じゃない
これはどこでもあることなんだろう。
大人なのに振る舞いが大人ではない。
街ではそういうことが公になってしまうと、常識的な人から
さっと避けられていき、同類の人とだけの付き合いになってしまうだろう。
田舎ではそうでもない。
割と許されているようだ。
なんだかわからないが(今でもわからない)、私を酷く嫌う人が隣の地区にいて、
ずっと口もきいたこともなかった。
その人は子どもの同級生の親で、子どもは同性でもなく、一緒に遊ぶ約束をするとか
そういうこともない。
幼稚園もうちは別の場所にいれて、その人とは全く付き合いはなかった。
挨拶すれば、90°向こうを向かれてしまう。もちろん挨拶は返ってはこない。
周りの人間もそれを見ているのだが、誰も彼女を咎めはしないし、それに
近い行動をとる人間が続く始末。なんなんだ、これは。
この彼女たち、私より5-10くらい上の年齢の人たち。
私はきちんと四年制大学を出てから結婚して出産しているので、若いとはいっても
驚かれるほど若い母親というわけでもなかった。
ただ運の悪いことに、そのクラスでは私は下から二番目の若さで、
彼女らが期待していたようにはへつらわないので、嫌だったのかもしれない。
参観日に学校の廊下ですれ違う際に私から挨拶しても90°顔を背ける。
下駄箱あたりで大きな声で挨拶しても、聞こえないフリ。
実はちょっと面白がっていた。
夫にもそういう報告をしていたくらい。
忘れもしない、子どもが小学校6年生の運動会の日。
なぜかあちらから満面の笑みで話しかけられた。
何があったのか驚いた。
彼女の元には彼女のお子さんが。
お子さんの前では意地悪保護者を続けるのが困難ということか。
これまでも同じように話をしていたような顔で当たり障りのない会話をしたはず。
私は大人なので。
次に単独で顔を合わせた時は、すっかり元の90°になっていたよ。
こういう人、一人だけじゃない。
でも挨拶くらいはしようよと思う。会話はしなくてもいい。したくないし。
こういう人たち、街にうっかり住んだら、逆に総スカンだよね。
ここにしか住めないんだろう。身内に優しいから。
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