第64話 夫と私
夫は昔からどこへ行っても人気者である。
明るいし、人として爽やか。
ユーモアがあって、サービス精神も旺盛な方だと思う。
田舎で仕事をしていても、老若男女に好かれるタイプ。
私はそうではないから、なんか羨ましい。
二人で外出しても、にこにこ挨拶されることが多い。
ちょっと話し込むこともある。
この人がいるから私もここでやっていけるんだなと思う。
私みたいなとりあえずじっくり様子を見て動くタイプだと
必要以上に警戒されるのかもしれない。
性別の違いもあるのかな。
女性の方が排他的なのか。
これまでトータルで5分以上話をしたこともない人間に
一方的に嫌われるような態度をしたこともないのに
ないことないこと言いふらされて私は困惑した。
でも解決策はないのだ。
全員のところに出向いて、当たり障りのない世間話をして
必要以上にぺこぺこして自虐ネタを連発して、街のお高いお土産を
配れば好かれるよと言われたこともあるが…なんで?そこまでする必要が?
普通に出会ったら挨拶して、時間が許せばちょっとだけ立ち話する。
それだけでいいと思うのだ。
街だとそうでしょ?
気が合うとか趣味が同じとかそういうことがあれば、もうちょっとだけ
近づくという感じで。
考えても仕方ないということで、私はこう思うことにしたのだ。
私は若くて美人だから、みんなが妬んであることないこと言っている。
気にする必要はないのさ、と。
背筋をすっと伸ばして、笑顔。
夫にあやかって爽やかにやっていこうと決めたのだ。
それが一番、攻撃してくる人にしたらダメージになるし、こちらも
気分がいい。
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