第53話 雪の日の楽しみ

雪かきは連日になるとさすがにうんざりしてしまうが、晴れた雪の日は楽しい。


家の周りを散策すると、足跡を見つけることもある。

小さい細かいものは、鳥。丸っこい猫の足跡もある。

さすがにそれ以上の大きさがあれば通報級。


近所に猫を飼う家があって、そこの子をたまに外で見かける。

その子の足跡らしいものを雪の日にあちこちで発見。

どんなルートをその子がパトロールしているか知れるので面白い。


この家とこの家の間を抜けてきているんだなあと探偵気分で追う。


雪が積もっていない時だとその子はすっと逃げていってしまう。

話しかけてもあまり近づいてはこない。


少し離れた場所でこちらの様子を伺って、危険がないと確認して

納得した顔をして去っていく。


ああ、あの時はこちら方面のパトロール中で、私やうちの車の動きを

見てたのだなとわかると、その子のことがうちの飼い猫でもないけれど

可愛く思えてくる。


まあ、ぱっと見ても可愛い猫さんなのだけど。


肉球があんまり冷たくならないうちに、自分のうちに帰って温まってねと

パトロールをひそかに応援している。


今朝もゆっくりと歩いた足跡を我が家の前で発見した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る