第54話 電車

電車って車両がいくつもいくつも連結して走っているものだと

街の人間はそう思っている。


私がこちらへ来て驚いたことの一つが、電車が一両や二両で走っていること。


特急はもう少し連結して走っているが、普通列車は一両や二両で運行している。

珍しくてカワイイと感じるせいか、SNSでもそんな車両がアップされているのを見る。


田舎といってもおばあさんたちは車の免許を持っている人が意外と少なくて

連れ合いが亡くなったり病気になったり免許返納してしまうと

遠くへ行くためにはバスに乗り電車に乗らなくてはならない。


昼間に電車に乗ると、そんな感じのおばあさんたちがぽつぽつ乗っている。

私が暇そうにしていると、いい話相手を見つけたとばかりに、話し込まれることも多い。


車両がどれも古いせいなのか、よく揺れる。

そして私は乗り物に弱い。

話し込まれて困るなあという時は、おばあさんたちに見つかる前に

耳にイヤホンをさす。

目をつぶって酔わないように深呼吸を続ける。


目をつぶっていても、話かけられることはある。

そういう時は仕方ないと覚悟して、話に付き合う。

それも縁かもしれないから。


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