第49話 ほっこり

田舎だから子どもも少ない。

今はもっと少なくなっているらしい。


そんな中、結婚して田舎に住み始めてから1年くらい経ち、第一子を産んだ。

そうしたら我が子が生まれるまであまり近づいてこなかったおじいさんや

おばあさんが、急に優しく声をかけてくるように。

(同じ地区の方に限るけれど)


今もそうなのだが、新聞の地方欄の片隅に、生まれた赤ちゃんの名前と

親の名前が掲載される。

市や地区も載るから、近所の人ならうちにどんな名前の子が生まれたのか

わかるのだ。

さすがに今は掲載拒否したら載らないようだが、我が子が生まれたあたりは

勝手に載っていた。


我が子を抱っこ紐で抱えて散歩すれば、どこからかたくさんのおじいさんや

おばあさんが出てきて、手や足を嬉しそうに触ってくれる。

名前もしっかり新聞で知られているから、説明なしに呼んでくれる。

歩くようになったら、あらゆるポケットにおやつをたくさん入れてくれる。

三輪車に乗るようになったら、前のカゴにおやつや野菜を入れてくれて

みんなの孫状態になっていた。


夏には地区の小さな公園で遊んでいたら、あずきバーを差し入れしてもらったり。


子どもが小さい頃は新聞配達はおばあちゃんがやっていて、よくそのおばあちゃんからもおやつをもらっていた。


畑仕事をしているおじいちゃんをじっと我が子が見つめていると

「手伝ってみるかい?」と言われて、大喜びで畑で手伝いともいえない手伝いをして

たくさん褒められた上に野菜などのお土産まで貰ったり。


私や夫だけではなく地域の方にも支えられて我が子らは育ってきた。

地元愛は育たなかったけれど、地区のおじいちゃんやおばあちゃんのことは

好きだと思う。

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