第12話 現在

今現在は、子どもたちが遠くて学生をやっていて、骨を砕く勢いで

脛を齧られている最中。


夫婦二人、田舎でのんびりしているという。


夫が定年までこんな暮らしの予定。

定年後は田舎を離れて、歩いて病院やジムやお店に通えるような

適度な郊外に住みたいと思っている。

自分たちの故郷みたいな場所を探したい。


田舎で不便だー、やりづらいーと文句を言っていてもつまらない。


数年前に普通自動二輪免許を取得して、晴れた日に練習がてら

田舎道をぼちぼちバイクで走っている。


教習所に申し込みに行く際に年齢ではねられるかと思ったら

まだ上の方がいるから安心して通ってくださいと言われてホッ。


新型コロナのせいで、バイク人気に火がついて

教習所も忙しそうだった。

田舎だからかほぼマンツーマンで教えてもらって

卒検は一回落ちたものの無事免許取得となった。


車もバイクも免許を取得が人よりもオバサンになってからだからか

どちらも教習所で「もっとスピードを出して」と言われる始末。

若い子たちは「(スピードを)出し過ぎ!」と怒られている。


週末は都市部からのライダーで賑わうが、平日の日中は道も混んではいないし

煽られることもない。

ちょっと道の駅まで柚子やネギでも買いに行こうかと、ウキウキしながら

出かけられるのは贅沢だ。

燃費も車と違っていい。


コンビニで季節によって肉まんやソフトクリームを食べるのもいいし、

空いている神社に寄り道するのもご利益がありそうでいい。


ここにきてようやく田舎の醍醐味というのがわかってきた感じ。

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