第5話 夜は暗い
田舎の夜は暗い。
「闇」である。
街灯の数は少なく、行きかう車も少ない。
闇の中から獣の鳴き声や駆ける音が聞こえてくる。
夏はカエルや虫が大合唱する。
昔の「悪霊島」という映画のキャッチコピーを思い出す。
「鵺の鳴く夜は恐ろしい」
鵺なのか何なのかわからないけれど、闇も鳴き声も恐ろしい。
しーんと静まりかえった闇の空気を何やらわからない獣の
鳴き声が切り裂いていく。
小さい庭でガサッと音がするたびに飛びあがりそうになる。
街に住んでいた頃は他人の出す音や車の音に腹が立ったものだけれど、
そういうものも感じられない世界というのも怖いものなのだ。
光がない分、空は美しい。
でもやはり闇が怖いので、長時間夜に外に出ているのは避けている。
イノシシ、クマ、サルが出てくると困るから。
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