第43話 従魔の街、畑作業

 朝食を異世界組に持っていくと、アンナ、フィオナ、リンから、こっちの世界でも魔物や賊に同じような目にあった人の話を聞いた。

 周りの人がしてやれることは、優しく見守ることやサポートしてやることくらいで、後は本人次第だって教えられた。

 そうだよな……幸いうちには、桜がいるから、温かくて美味しい料理を届けてあげよう。

 あとは、管理者に言って、サウナや温泉も良いかもな。

 桜が見える露天風呂、いつか心が癒されたら、綺麗だって思えるかも知れないし。


 異世界組と朝食を済ませ、お礼を言って、ダンジョンへ戻った。


 俺は、桜の作ったオーク汁……今更ながら変な汁みたいだよな。豚汁って言って渡そう。

 オーク肉を使った豚汁を持って従魔の街へ向かった。


 従魔の街は、一変していた。

 宿を囲うように、桜の舞い散る公園が出来ていた。

 これなら、どの部屋からでも桜を見ることが出来ると思う。

 少し離れた場所には、ラベンダー畑と何本もの畝がある畑。

 その近くに、柵で囲われた場所があり、チラッと見えただけでも、ウサギ、子犬、子猫が見えた。

 逃げ出していないのが不思議だけど、管理者さんがテイムした従魔かもしれない。

 あとは、綺麗な小川が桜の公園と畑の間を流れていた。

 小川の先は湖につながっているようだ。


 宿に入ると、3人の従魔と管理者さん、見たことのない女の人がいた。


「おはようございます。オーク肉の豚汁持ってきました」


 俺が声をかけると、3人の従魔は、つっかえながらも、挨拶を返してくれた。

 この子達は比較的マシな子だったのかもしれない。


『おはようございます。こちらの方も協力者です』


「おはようございます。日本でカウンセラーをやっていた落合です」


「俺は、不河です。あ、こっちではシゲオって呼んでもらってますので、シゲオでお願いします」


「わかりました。私は、この宿の一室を借りて、カウンセリングをしていきますので、よろしくお願いします」


「それは心強いですね。こちらこそよろしくお願いします。じゃあ俺は、豚汁温めてきますね。管理者さんご飯とかは大丈夫ですか?」


『はい、問題ありません。先ほどマコトが準備していきましたので』


「おじ様も来てたんですね。では、温めたらまた声かけますね」


 そう言って俺は調理場へ向かい、豚汁を温めた。


 俺が、声をかける頃には、従魔達が席へ着いていた。


 落合さんに手伝ってもらい、ご飯、唐揚げ、豚汁を配っていく。

 朝から重いかなぁと思ったが、みんな昨日より僅かながらも美味しいという表情が垣間見れた。

 落合さんも、今まで食べてきた豚汁の中でも上位に入るほど美味しかったですと言ってくれた。

 桜に感謝だな。


 食事が終わったあと、管理者さんに畑に植える種をお願いした。

 その時、収穫までは本来よりも早くなり、季節も関係なく育つと教えて貰ったので、採ってすぐ食べれる甘い物も植えようと思い、スイカ、メロン、イチゴ、バナナなどの苗も貰った。


 畑に行くことを従魔達に伝えると、5人のエルフと挨拶を返してくれた3人が手伝ってくれるようだ。

 この3人は、ジャージを着ていた。

 畑に向かいながら、3人に種族を聞いてみると、急に立ち止まって俯いてしまった。

 しばらく待っていると、そのうちの1人が恐る恐る『リリスです』と答えてくれた。


「そうなんだ。うちにもトワさんってリリスが居るよ。3人とも美人でスタイルも良いから、そうかなぁって思ってたけどね」


「え……リリスと同じ部屋で生活しているのですか?」


「そりゃね。ほんと良い子だよ。触れたら死んじゃうけどさ、あはは」


「……シゲオさんは、変わっていますね」


「ははは、最近同じこと言われたよ。でも俺にとっては大切な仲間だからさ」


「その、トワさんという同族が羨ましいです。私たちは、個室に監禁されていましたので……」


 そうか、個室に入れば、反応するのを俺も最初に確認したからな。

 俺は自分が個室に行ったけど、この子達は、逆だったのか。


「そうなると、3人は生気と精気足りてるの?」


「正直に言わせていただきますと、全く……」


「そっか、大変だったね。まだ宿からそんなに離れてないし、リスポーンするのは転移してきたところかな? 確かあの辺だから……エルフのみなさんにはちょっと待ってもらうけどいいかな?」


 エルフ達はみんな頷いてくれたので、3人のリリスを連れて、転移してきた位置にやってきた。


「じゃあ、握手しようか」


「よ、よろしいのですか?」


「もちろん。俺みたいので良ければだけどね」


 3人ともオロオロしていたので、話をしてくれていた子の手を握った。


 一瞬でリスポーンした。

 これは……余程足りてないな。


 とりあえず、この子が満足するまでリスポーンした。

 最後は、目を潤ませながら、ありがとうございますとハグしてくれた。

 あ、やわらか——-

 リスポーーーーン!


 残りの2人も同じように、最後はハグしてくれた。

 この時、リリスのキャバクラって良いかもと思った。 


 俺は、艶々になった3人を連れてエルフ達と合流して、畑へ向かった。

 

 畑の土手に、苗や包装された種を準備して、俺達は作業に移った。

 みんな笑顔で作業しているようだ。

 俺もそれを遠目に見ながら、作業していた。


 全て植え終わると、エルフ達が魔法を発動し、雨のように全体に水を撒いてくれた。

 その後、エルフ達は目を瞑り全身から緑色の光を放ち出した。

 そのまま見ていると、畑全体へとその光が降り注ぎ、種を植えたところからは芽が出て、苗だったものが少し成長した。


 俺は思った、エルフって凄い!


 俺は、みんなにお礼を言って、今日はこれで帰るよと言って、解散した。

 エルフ達は、微笑み、みんなで話をしながら宿に戻っていった。

 リリス達は、なぜか残っていた。

 どうしたのか聞いてみると、リスポーンの場所へと言ってきた。

 あぁ、アレが欲しいのね。俺で良ければドンドンどうぞ!


 リスポーン場所までくると、目を瞑ってくださいと言われた。

 なんでだろう? ま、まさか脱いじゃう? 脱いじゃうの!?


 そう思っていると、両頬とおでこに柔らかい感触があった。

 驚き目をあけると、3人のリリスが微笑んでいた。


「シゲオさんへのお礼です。またよろしくお願いしますね」


「はい! もちろん喜ん———」


 リスポーンした。


 俺達は、笑顔で挨拶をして、俺はダンジョンに帰還した。


 戻って早々に、トワさんから「同族の匂いがするわぁ」と言われた。


 桜とトワさんに、数十回リスポーンされた。


 あれ? リスポーンしたら匂いってわからな—————

 俺は考える間も無くリスポーンし続けた。


 

 

 



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現在の主人公装備一覧


初心者の剣

初心者の木の盾

ウエットスーツ一式


ミスリルの短剣

ミスリルの剣

ミスリルのカイトシールド

ミスリルコンポジットボウ

ミスリルハーフプレートメイル

ミスリルアームガード

ミスリルグリーブ

ウルフマント

リザードマンの皮手袋

スノーシュー

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スキル一覧


テイム

体術

短剣術

長剣術 

盾術 

弓術

魔力

魔力操作  

魔力向上 

上級回復魔法

(回復魔法には、解毒などの魔法も含む)

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補助魔法

身体強化

腕力上昇 

脚力上昇 

体力向上 

回避補正

鷹の目

鑑定

錬金術

収納

矢弾作成

水中行動

気配察知

異世界言語

冷寒耐性

熱暑耐性

ダンジョン帰還

遮音結界

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持ち物一覧


若返りの薬

チェーンソー

ミスリルの両手剣

ミスリルの槍

ミスリルタワーシールド

ミスリルの腕輪

ガーネットとミスリルのネックレス

隠者のローブ

ツルハシ 3本

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設備一覧

内装 ロッジ風

初心者物干しセット

鍛治設備一式

小さな個室

トイレ

脱衣所付き風呂場(洗濯機、洗面台は脱衣所)

冷蔵庫

キッチン設備一式

大きな座卓一式

配信用カメラ

ブルーレイ対応液晶テレビ

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従魔一覧


ヴァルキリー風ゴーレム(せっちゃん)

念話、食事

ドワーフ(ラズ)

鍛治能力向上

リリス(トワさん)

拘束魔法、拘束魔法強化

ヴァンパイア(桜)

異空間収納、料理


アンナ 赤髪ロング (異世界奴隷)

フィオナ 狼人族

リン 狐人族 シロとクロ

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食材等 Dポイント 500

残 Dポイント 66,505

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