第4話 諸々
8か月が経過した。
その間にあったことと言えば、俺が初心者の守護者(笑)と呼ばれていたことがまず挙げられるだろう。
初心者の弓を命懸けで守った次の日、改めて地下足袋を購入できたことを報告するために配信をした。
そこで、その弓高いのですか?って質問があって、初心者の弓ですよって答えたら、めっちゃ草が生えたわけよ。最初は気づかなかったけど、これも初心者シリーズな訳で、ロストなんてしない訳で……。
もう顔真っ赤よ。恥ずかしくなって、お礼だけ言って配信は閉じた。
切り抜きシステムあったら、恐ろしいことになってたわ。
まぁアーカイブの再生回数が伸びているのが恐ろしかったよね。
消そうかとも思ったけど、色々面倒になってそのままにしてある。
5時間に1回しかドラゴンに攻撃できないから、時間を持て余して、雑談配信もやってみたけど、【初心者の守り手w】【初心者の守護者っw】とか、めっちゃコメントで言われて、配信は速攻やめた。
それでも、暇すぎるので、情報漁ったりしていたが、筋トレすれば多少ダメージがあがるとの情報を得たので、筋トレ配信者の効果的な筋トレを観ながら筋トレした。
某ワンパンチの人も筋トレ頑張ってたもんね。
攻撃開始から約6ヶ月の時に、ドラゴンの挙動が変わり、眠らなくなった。
最初は、咆哮からのブレスで危うく地下足袋をロストするところだった。
その次のチャレンジでは、矢を番えたまま、角から飛び出し撃って即逃げる戦法で何とかダメージを入れられるようになった。
何回か繰り返していると、たまたま口の中に矢が刺さり、ドラゴンがブレスを周囲に乱発するということもあった。
その後、口の中に刺さることを警戒したドラゴンだったが、ブレス予兆段階で口を閉じてキャンセルした時、これまた、たまたま眼に矢が刺さることが起きた。
あの時は、何時間たっても暴れたままだったから、待つ間、情報収集していた。
その中で、特殊個体は食事が必要という情報を得た。
あのドラゴンがよく寝ていたのは、食事が出来ず体力を温存させる為だったことが分かった。
このまま暴れてたら、衰弱するんじゃね?って思って、筋トレ等をしながら、しばらく待つことにした。
3日ほど経った時に、様子を見にいくと、片目に矢が刺さったままのだいぶ弱ったドラゴンがいた。
矢を番え、鼻先を狙ったが、こちらを見るためなのか、矢を嫌がったのか、顔を振った。
2射目が撃てると、そのままもう片方の眼を狙って矢を放つと、グサリと眼に刺さった。
暴れるのが分かっていたので、全力で部屋まで撤退し、また放置することにした。
たまに様子を見に行って、ブレス乱発していなければ、チクチク矢を撃っていった。
そんなこんなで、約8か月の今、衰弱し動かなくなったドラゴンを倒しに行くところだ。
あと、大きな出来事と言えば、5階層から若返りの薬が出ることが分かったことだろうか。
30代40代のエチチなお姉様方が、それはそれは目の色変えて攻略に身を乗り出しました。
熟されたエロスも良いモノだが、若返ったらどんなエロスになるか楽しみです。
さ、こちらはドラゴンにトドメを刺していきましょう。
ドラゴンの所に行くと、ダメージと衰弱で頭を地面から上げることも出来ず、眼には矢が刺さっているため完全に閉じることも出来ない哀れな姿のドラゴンがいた。
初心者の剣を、瞼の隙間に差し入れ、そのまま脳まで届けと押し込む。
ビクッとドラゴンの体が震え、光となって消えていった。
「ようやく……ようやくだよ。長かった……」
8ヶ月に及ぶドラゴン討伐は、こうして幕を閉じた。
長かった苦行を終え、俺はその場に腰を下ろした。
しばらくそのままボーッとしていたが、ドロップ品を確認しようと腰をあげた。
ドラゴンのドロップは、サッカーボールくらいの大きな魔石と、心臓だった。
「し、心臓かぁ……」
どうしよう。まぁとりあえず、部屋に戻ろう。
部屋に戻ってきた俺は、Dポイントの確認をすることにした。
ドラゴンのポイントは、5000だった。
「おぉ! 確か魔石も同じポイントになるはずだから、そうすれば10,000……鑑定スキルも買えちゃうじゃん! ……まぁ、買わないけど」
ポイントないからね。
この8ヶ月で0になっちゃったからね。
初心者の物干しセットとトイレットペーパー、石鹸買ったら0ですよ。
物干しが初心者シリーズなのは、おじ様曰く、森や草原のダンジョンで使って、もしモンスターに壊されても、問題ないための支給品に近いものと考察されていた。
物干し竿なら、何か戦闘に使える可能性も微レ存か。
そんな訳で、魔石も売却し、念願のテイムスキルを手に入れた!
Dポイント5,000です。後悔はない!
これで、ムフフな性活に一歩前進だ!
後は、体術がオススメとおじ様も言っていたので、それも購入。
Dポイント1,000です。
そして、もういい加減限界が来ていた床に直に寝るスタイルを、快適なものへと変貌させよう。
ベッド、マットレス、敷布団掛布団、枕のセットを1,000で購入。
食事も朝食を和食に、夕飯を肉料理へと変更。毎食毎にDポイント10消費するので、1日合計で20消費。
ついでに醤油も購入。キッコー○ンの食卓醤油は、20ポイントで買えた。
まだ昼まで時間がある。
夕飯まではさらに時間がある。
手元には、ドラゴンの心臓がある。
ドラゴンハート……すなわち! ハツだ!
8ヶ月に及ぶ、食パン・コーンスープ生活は、突然の肉の出現に我慢なんて出来るはずもなく。
初心者の剣を使い、スライスしていく。
血が溢れることもなく、サクサクとスライスされていく。
先ほど買った醤油を垂らし、手掴みで口に放り込む。
「う……うー! まー! いー! ぞー!」
今まで食べてきたどんな肉よりも美味い。
変な臭みなんて一切無く、しっかりとした食感ながらも固すぎることもない。噛めば噛むほどに肉汁?血?とにかく旨味ある汁が溢れてくる。
あっという間に食べきってしまった。
身体の奥底から力が漲ってくる。
基礎能力でも底上げされたのか?
鑑定のスキルもないからわからんな。
「ふぅ……力は漲ってきたけど、久しぶりの肉を食べて満足したし、シャワー浴びて、ベッドで仮眠しよ」
ぐっすり夕飯まで眠った。
冷めてしまった昼飯もあったが、夕飯のステーキ定食も合わせて、美味かった!
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ドラゴン Dポイント +5,000
魔石 Dポイント +5,000
テイムスキル Dポイント 5,000
体術スキル Dポイント 1,000
初心者物干しセット Dポイント 20
石鹸 3個入り Dポイント 20
トイレットペーパー 12ロール 20
醤油 Dポイント 20
一日の食事 朝夕変更 Dポイント 20
残 Dポイント 3,060
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