第3話 試行錯誤
不貞寝から覚めて、どうしようもないから、DTubeで鬱憤を晴らし賢者モードへと移行した。少しづつ無修正AVみたいなの増えてきたな……。
増えてきたことを喜ぶ紳士が多い一方で、初期から自らをオカズにしていた女性達も、徐々に過激になってきた。
まぁ女性じゃなかなかモンスター倒せないよね。しょうがないしょうがない。登録登録っと。
さて、気晴らしは十分だが、どうしたもんか。
悩んでもしょうがない! 弓の練習からだね。
弓を装備して、ダンジョンへ。
入ってすぐの所で、弓を番え放つ。
バシッと腕に当たる。
痛いです……。
矢も全然飛ばない。
「うーん、わからん。このまま痛みを我慢して練習する? ……無理だな。うまく行く未来が見えん」
うんうん唸っていたが、ピンッときた!
「DTubeで探せばいいじゃん」
開始早々撤退です。
部屋に戻り、DTubeで検索してみると、ありました。
最初から、これ見ればよかったわ、アホや俺。
アーカイブがいくつかあったので、それを片っ端から再生し、弓の使い方をお勉強です。
ダンジョン行くのも面倒なので、部屋の中で壁に向かって打ちます。
カンッと弾かれた。壁頑丈。
そんなこんなで数日後。
まともに弓が飛び、バシッとなることも少なくなってきたので、リベンジドラゴン。
ダンジョンに入り、ドラゴンのいる曲がり角へと到着。
スースー寝てやがります。
距離としては、30メートルくらいか。遠すぎず近すぎず。
弓を番え、放つ。
カッ
当たって弾かれました。
だがこれで1ダメージ入ってるはず!
ドラゴンが目を開け、スーーーーーっと息を吸いブレスの予兆。
俺は全力で戻る。
ブレスの余波は最初の曲がり角まで来るようだ。
「ふぅ、これを繰り返せば、俺にもエチエチライフのチャンスがくる!」
やはり男にはエロスが原動力ですよね!
グッと弓を握りしめ、一歩を踏み出した。
ジュッ
「あっつうううううううううううう!!!!」
素足ダメ絶対。撤退。
部屋に戻り、不貞寝した。
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落ち着いてみれば、そりゃそう。だって、通路赤熱してたもんな。
これ、ブレス後に近づけるのか?
水かけて、水蒸気爆発狙う?
いやいや、どんだけ水が必要だよ。狙ってドラゴン側に爆発出来るのか? 出来ないよなぁ。
マグマ地帯のダンジョンとかあるかも? 確認しよう。
DTubeで確認すると、マグマ地帯のアーカイブはあった。
あったが、参考にならなかった。
ロリドワーフが作った耐熱ブーツだってよ。
あとDショップに1000で耐熱装備があるらしい。
こちとら、残が60しかないんやぞ!
うんうん唸って、おじ様タイム。
質問は、死亡後、敵への蓄積ダメージは残るのかどうか。
結果は、ダンジョンに入り直すとリポップする通常のモンスターやボスであれば、蓄積はない。
まだ検証していないが、徘徊する特殊個体は蓄積があるかもしれないとの情報を得た。
これだけでも救いあるよね。
現時点でブレス後、5時間が経過している。
ダンジョンの様子を確認することにした。
ダンジョンの入り口付近、暖かいです。
最初の曲がり角、赤道付近の暑さです。
ドラゴン前、砂漠です。素足では近づけません。
結果、靴があれば、5時間に1回は撃てる。
はい、撤退。
Dショップを開き、靴を検索。
最安値はサンダル。走れないからダメ。
次点は、足袋。阿波踊りかな? 薄いダメ。
次は……スクールシューズ上履き白。サイズ25までしかない。ダメ。
いいのが無い。ってかDポイントがない。
60ポイントで買えるなんて、サンダルかうっすい足袋しかねー。
少しでも早く射撃位置に行けるように足袋買うかぁ……。
せめて300あれば、とび職の人が履いてる地下足袋ってやつ買えたんだけど……。
ん? 待てよ。配信があるじゃん!
絶望配信とか……いや、もういっそのこと、助けてください! でもいいからポイントせびろう。
よし! そうと決まれば、完全に熱くなくなるまでは待機だな。
今日は、エチエチなJDの配信でも観て寝よ。
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いやはや設備買って、顔も何もかも曝け出す精神。真似出来ない。プライスレス。
起きました。スッキリ爽快です。
さて、飯食って、準備を終えて、いざ配信開始と行きましょう!
タイトルは、『絶望しました。支援ください;;』でいいか。
よし開始!
配信を開始し、ダンジョンに向かうために立ち上がると、目の前に半透明なウィンドウが現れた。
これが、コメント欄なんだね。位置も自分で移動できると。
まぁ、現状このままでドラゴンまで行きましょう。
ダンジョンへ入り、最初の曲がり角まで行くと、コメントが来た。
【お疲れ様でーす】
「あ、どうも。お疲れ様です。初配信です」
【あ、初見です。よろしくでーす】
「ありがとうございます。よろしくです」
配信なんてやったことないから、何話せばいいの!?
「えっと、この先に絶望が待っているので、ご一緒ください」
【あ、はい】
頭を抱えたくなるトークセンスのなさよ。
あとで、アーカイブ消そう……。
悶々とした気持ちを抱えたまま、ドラゴンの曲がり角まで来た。
「では、ご覧ください。あちらが俺の絶望です」
スースーと音が聞こえる曲がり角の先を覗き込む。
【草】
……草ッじゃないがwww こっちが草だわ。
「えー、まぁこんな状態でして、ここまで敵も出ないので、Dポイントもすっからかんな訳です。つきましては、ご視聴の皆様には大変心苦しいお願いなのですが、ご支援を賜りますようお願い申し上げます」
【草】
【おつ】
【これは無理ゲー】
【ストレートなせびり嫌いじゃない】
【がんばwww】
【Dポイント300 お納めください】
「貴方は神か? すみませんすみません、本当に! ありがとうございます! 匿名のコメントでこんなこと聞くと失礼なのは重々承知なのですが、お名前お聞かせください!」
【テンション上がりすぎてて草】
【石油王か】
【俺にもくださいw】
【わたしは、みんなからはダンディーとかおじ様って呼ばれてるかな】
【おじ様だった】
【さすダン】
・
・
・
「おじ様だったんですね! すみません本当ありがとうございます。この御恩はいつかお返しします!」
ありがてぇ、これで地下足袋買えるぅぅぅぅ!
目の前が滲んでコメント見えねーわ。
「本当感謝です。では、最後にブレスから逃げて終わりにしますね」
そう言って俺はドラゴンの前に陣取り、弓を番え矢を放った。
シュッカッ
連なる音を残し矢が地面に落ちる。
眼を開くドラゴン。
息を吸いブレスの予兆。
逃げようと思った時、だいぶドラゴンに近い場所にいることに気づく。
Dポイントを貰えたことで、気持ちが昂ぶっていたのだろう。
そこでハッとする。初心者の弓は購入品だということに。
「ヤッベ! これだけは、これだけはぁあああああ!」
全力走る。
後ろから炎の光が射し込んでくる。
曲がり角を過ぎた辺りで、微かな熱風を感じた。
一か八か、弓と矢筒を纏め、全力で投げる。
「届けぇええぇぇぇぇぇえええ———」
そして、俺は炎に呑まれて死んだ。
瞼に明かりを感じ眼を覚ます。
配信は死んだら勝手に終わるようになっているらしい。
とりあえず弓!
急ぎダンジョンに入る。
むせ返る様な暑さが襲ってきた。地面も熱いがギリギリ大丈夫。感覚としては夏の砂浜。
弓は……あった!
遠目からだが燃えていない。
一旦部屋に戻り、息を目一杯吸い込んでから、ダンジョンに入り、弓のもとへ。
弓セット一式を回収して、急ぎ部屋に戻る。
「アッツ! 足の裏アッツ!」
弓セットを置き、シャワーで足を冷やし、落ち着いた所で弓を確認する。
だいぶ熱を持っている様だが、木の部分も弦の部分も無事なようだ。
「ふぅ、危機一髪だわ。300貰って靴じゃなくて、また弓買うとか笑えねぇ」
ドッと疲れが出てきたので、地下足袋と専用の靴下をセットで300を購入して就寝することにした。
明日からはしばらくチクチクかぁ……おやすみ。
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おじ様より Dポイント +300
地下足袋セット Dポイント 300
残 Dポイント 60
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