第4話5人の女

山田は同じ経済学部の女を5人連れて、白木屋に現れた。先に飲んでいた、バカの5人の男どもは歓喜の声を上げた。

佐々木は、

「初めまして、ささっ、どうぞ座って下さい。駆けつけ三杯と言いますから、早速、生でも注文して下さい」

なぞと、オッサンの様な台詞を吐いた。

真壁は、隣に武蔵丸に似た、通称ゴンちゃんが座り、真顔になっていた。

「おいっ、真壁の兄さん。顔、顔」

と、いぬいが言うと、

「いっけね、ご、ゴンちゃん初めまして。真壁です」

「初めまして、権田ごんだと、申します。……そんなイヤらしい目で見ないで下さい」

「な、なんだとっ!」

真壁は瓶ビールを持ち、殴り掛かろうとしたが、

「にいちゃん、冗談キツいよ!」

と、佐々木が言うと我に返った真壁は、

「ウフッ、ゴンちゃん冗談だよ」

と、言ったが目つきは悪かった。


山田が、

「この5人が我がサークルの仲間入りしました。かんぱ~い」

と、言うと11人は酒を飲み始めた。

途中、佐々木と真壁はトイレに立った。

もんじゃ焼きを食べるゴンちゃんに、真壁は、

「思いっきり、ゲロ吐いてくるね」

と、言うとゴンちゃんは嫌な顔をした。

トイレに入り、御手洗いで手を佐々木が洗っていると、真壁が、

「芋ばっかりだな!1人は力士だし」

「まぁまぁ、美女は罪なものだけど、醜女しこめは、犯罪って言うしね。でも、明るくなったよ」

「なぁ、佐々木ちゃん、場所代わってくんない?力士がうるせーから」

「いいよ!」


佐々木はゴンちゃんの隣に座った。

「初めまして、佐々木です」

「初めまして、権田です。佐々木さんって、イケメンですね。わたしはベッドの上じゃ、メス犬よ!」

「……」

佐々木はトングで、権田の眉間をグリグリした。

慌てて、伊東が佐々木を羽交い締めにして、ゴンちゃんから引き離した。

真壁はニヤニヤして、

「ねっ?」

と、言うと佐々木は、

「なっ!」

と、答えた。山田は、自分の手腕に酔っていた。5人も女を集めたのだ。

だが、この珍サークルは佐々木の記憶に残る最高の思い出になるのだが、それはまた別の話で。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る