第14回『忘れる』:悪戯<タブレットマギウス>

 村名すらない忘れられ具合がちょうど良い。

 登山道具一式と電池にソーラーパネルともちろん肝心のタブレット。担いでようよう村跡へと辿り着く。廃神社は良い具合に寂れている。

 選ぶの単なる巨大石。ただし、ひっくり返せることが条件。

 表面に電書魔術で文字を刻む。千年くらい昔の書体で、もちろん当時の文体を模して。刻んだ文字を風化させる。熱に紫外線、水に土。出来たら石をひっくり返す。現代の文字で風化させずに、己のハンドルネームを刻む。位置を戻して作業完了。

「あとは時間との勝負」

 苔生し完成するのが早いか、それとも廃墟マニアに見つかるか。


 *


『廃村に義経の痕跡か!?』

 気づいてもらえない悪戯をバラす契機を見つけられない。

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