第8回『鳥』:ポスト伝書鳩<タブレットマギウス>

 タブレットをタップする。透き通る鳥が現れる。拳ほどの大きさの単純化された小さな鳥だ。

 羽ばたくモーションで浮かび上がり、くるりと回って戻ってくる。

 タブレットに着地する。頭を突くと鳥が消え、専用アプリが着信を告げる。

「いい出来だろ?」

「伝書、鳩?」

「ほっとけ!」

 指定した電書魔術端末へとメッセージを送信する。所要時間は距離次第。GPSを取得するから移動してても追いかける。専用アプリは必要だが、MANAさえあればネットは不要だ。

「犬猫ウサギ、何でもイケるで。スキン次第で」

「おやつは要るか?」

「何食わす気や」

「現地のスイーツ食わしたるわ」

「……いいな、ソレ」

「じゃ、行ってくる」

 紛争地帯がこいつの職場だ。

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