第7回『朝』:朝の景色

 孤島の少女はドアをこじ開け外気を吸う。まだ涼しく湿っぽい。水平線が染まり始め、コケコッコー! 畜舎から鶏の声が聞こえてくる。


 制服の少女は朝食身支度戦争を経て家を出る。バスに揺られて駅前で吐き出される。怠く急いた空気に乗ってホームに流れ、背を叩かれる。

「おはよう!」


 少年は暗い中、朝食野菜の収穫に向かう。反射鏡の光が差し始め、輝緑と土色の円筒形のコロニーを見上げる。今日の予定に、笑みを浮かべる。


 四十路の女は目覚ましを叩く。

「明けない夜はないって言うけど」

 食堂兼眺望室から見えるのは永遠の夜空。

 月極クレーター永久影内のデータセンター勤務は、DV夫から逃げるには最適だけど。

「明けないわねぇ」

 溜息が漏れる。

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