第7回『朝』:宿泊学習

 日の出直前が最低気温。朝霧、朝露。気温と湿度は関係がある。

 明けの明星は金星で、猫の爪のほども細い月なら昇ってわずかで消えてしまう。

『朝』なんてそんなものだ。『授業』の意図がわからない。


 4時半に叩き起こされ、着替えだけして玄関集合。メモを持たされ即解散。クラスメイトに腕を引かれ、目を擦りながら外に出る。

 目を瞬く。辺りを見回す。

 湿った風が剥き出しの肌に纏い付く。景色は暗く、空だけ明るい。頭上は紺で月が浮かび、東に向けて黄味が増す。山の縁は燃えるほどに。

 風が抜ける。青臭い。地下都市にはない外の臭い。

「カラスウリ!」

 それは儚い一夜のドレスで、月の舞踏会で躍るようで。


 始業式。私のレポートは5枚になった。

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