第34話 討伐
ハンターと魔法使いが組んで前進して行く。
全身真っ黒でヘル種より細身な魔獣が、唸りながら徐々に前に出てくる。
「アレクサンダー、お前ならやれるぞ!」
新人ハンターくんが、アレクサンダーを勇気づける。
「チルチル、頑張るのよ!」
女の子ハンターも、チルチルを勇気づける。
うーん、二人とも大丈夫かな。
アランは、ボッサとスタンをカバンに入れようとしたが、2匹とも興奮状態でアランから逃げ回り、敵の魔獣を見ては威嚇していて、アランは諦めた。
アランは、ギルドの依頼が雑すぎると今更ながら思った。
早く、終わらさなければ。
血気盛んなハンターが、矢を放ち、魔獣を仕留めると火蓋が切られた。
魔獣が凄い勢いで走って来る。
初級魔法使いたちが、小さな爆発を起こす。
爆発をかいくぐり走って来る魔獣に、ヘル種が首に噛みつき地面に叩きつける。
すぐさまハンターが、剣で止めを刺す。
連係は上手くいっているようだ。
ハンターたちは、双剣やら大剣やら、思い思いの武器を使いながら、相棒のヘル種と戦っている。
間違って相棒を切らないかとひやひやするが、相棒なだけあって息ぴったりだ。
地響きのような唸り声に、魔獣たちが下がりだした。
どーんと地震が起こったかのような揺れは、州都に向かう途中、アランが倒した魔獣だ。
「デンガだ!」
大きな魔獣は、デンガラーズ。
立ち上がると4、5メートルはあり、ハンターからは、デンガと呼ばれ、出くわしたくない魔獣で有名だ。
今度は、3体向かって来る。
「倒せるか?」
アランは、魔法使いのリーダーに聞いた。
「殺れます!」
リーダーの他にも、3人が前に出た。
頼もしいな。
「手こずるなよ!」
アランは、4人に任せた。
真ん中をデンガが突っ切ってくる。横に逃げた魔獣が、同じように横に逃げたハンターと初級魔法使いたちを狙う。
「ビジュケルを倒せ!」
最初に襲ってきた魔獣だ。ヘル種より細身で、集団で狩りをし、死肉でも平気で食べる魔獣だ。
ハンターと魔法使いたちが戦い続けるなか、アランたちのところにも、ビジュケルが襲いかかって来た。
新人ハンターくんと女の子ハンターも、戦い始める。
腕はまあまあ。ただ長期戦となると体力不足だ。
「前に出過ぎだ。単独になるな!」
女の子ハンターが、ビジュケルを追いかけアランたちから、離れて行く。
一瞬、黒い影が通りすぎる。
悲鳴が上がり、女の子ハンターに魔獣が襲いかかる。
また、来たのかよ。
「クヨムだ!」
ハンターが叫ぶ!
女の子ハンターに襲いかかったのは、あの飛ぶ魔獣だ。
アランは、杖を出すとクヨムに向かって一振りで切り倒した。
次々に、単独になった女の子ハンターが狙われる。
アランとスタン、新人ハンターくんは、空からクヨム、地上はビジュケルと戦いながら、女の子ハンターを助けに行く。
「チルチル!」
チルチルが、クヨムに足を掴まれる。
ボッサがクヨムの足に、噛みつき、チルチルを助けようと奮闘するが、小さいボッサは振りきられてしまう。
女の子の叫びとともに、チルチルが大空へ連れて行かれる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます