第31話 嵐の前の静けさ

「静かですね。」

 森に入ると若い魔法使いが、リーダーに話しかけてきた。


「アラン殿の波動が効いている。魔獣がたくさん待ち伏せしていたが、あの波動のお陰で、魔獣は逃げ帰った。今、森には魔獣がいない。」


「でも、この先の平原で待っているわけですよね。」

 若い魔法使いが、少し不安そうにしている。


「森では、我々は不利だよ。森を丸焼きにしたところで、魔獣を殲滅できないし、魔獣をすべて誘い出さなければ、今回の討伐の意味がない。我々は欠けること無く平原にたどり着く。さっきのは、宣戦布告だよ。今頃、ボスに泣きついてるさ。」


「よく笑えますね。……我々は、勝てるでしょうか。」


「特級魔法使いを忍ばせてきたんだから、負けはさせないと言うことだろう。」

 いつの間にか、強面こわおもてが側に来ていた。


「あぁ、魔法協会の会長からの計らいさ。アラン殿には、気の毒だかな。」


「まったくだ。」

 強面こわおもては、アランが乗る馬車を見た。


 アランは、すでに起きて前方を見ていた。


 アランの横に、なんとチルチルが来た。


「おー、チルチルー。」

 アランは、チルチルにもふもふをしようとしたが、さっとすり抜けられてしまった。


 チルチルは、何事もなかったように、女の子ハンターのところに戻ってしまった。


 うー、もふもふさせてくれー。

 スタさん、ボッサー!


 アランは、馬車の上で嘆いた。


「さっさと終わらせてやるぞ。」

 アランは、小さく呟いた。


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