第30話 曇天
州都を出て、2時間程たつと晴れ渡っていた空は、曇が増え太陽を隠しがちになってきた。
アランは、走る馬車の上で立ち上がった。
州都を出て、すぐ左に折れて真っ直ぐ来た道は、平野を抜け、横に並ぶ、ふたつの山へと続く森に近づきつつある。
アランは、目を細め冷たい視線を森に向ける。
「お前、危ないぞ。」
新人ハンターくんが、アランを見上げている。
馬車の横に、魔法使いのリーダーともう一人の魔法使いが寄って来た。
そして、ハンターのリーダーの
「隊列を組みますか。」
魔法使いのリーダーは、アランが特級魔法使いだと気がついたようだ。
「いや、そのまま前進してくれ。」
アランは、そう伝えると、空に浮かび上がる。
アランは、自分を防護壁で囲い、森に入る手前までくると空中で止まった。
空はさらに暗くなりつつある。
アランが手を掲げると、炎が上がり杖を型どる。
炎が消えると銀色の美しい杖が表れた。
アランは、杖を掴むと森に向ける。
「あれは……。」
「波動だな。私も初めて見るよ。」
魔法使いのリーダーが、もう一人の魔法使いに説明する。
アランの冷たい視線に怯えるように、森がざわめき始める。
小さな震動が、徐々に大きくなり森が震えていく。
そして、震動と共に、まるで森が悲鳴をあげているようなざわめきが、山と山の間辺りに向かっていく。
大きくなった震動とざわめきが、山と山の間辺りにまで届くとぴたりと震動とざわめきが治まった。
アランは、馬車まで空中移動して、馬車に降り立った。
「そのまま進んでくれ。森を抜けた平原が戦いの場所になるだろう。みなに伝えてくれ。」
アランは、新人ハンターくんに、少し寝ると伝えると、馬車の端で丸くなって眠り始めた。
太陽の光りが少しだけ、アランたちを照らしていた。
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