第4話 森って暗いよね。
「おい!スタさん、いい加減にしろよ。」
スタンは、また子猫サイズに戻って肩にしがみついている。
「しかも、震えているじゃねーか!怖がり過ぎだろ。」
まだ、魔女の小屋から大して来ていないのに、スタンの怖がりようは、半端ない。
森は、まだ所々日が入り危険を感じない。
魔女の地図でも、危険地帯からは遠いし、魔女が張った防御壁もある。
この透明な防御壁は、魔獣などが近付かないように魔法がかけられている。
人は、関係無く通れるが、魔獣などは通れないし警戒して近付かないだろう。
ただ、少し力が弱っているようだ。
魔女の体力と比例しているのだろうか。
アランは、二重に防御壁を張って行くことにした。
あの魔女には、余生を静かに過ごしてほしかった。
「……スタさん、肩かけがボロボロになるから、止めてくれよ。切れるじゃないか。」
カバンの肩かけが網状に編まれていて幅広いために、肩への負担が無く丁度良いが、スタンにも、丁度良いらしい。って爪とぎかよ。アランは、スタンを抱っこした。
「爪なが!……ぷぷっ、肉球の間から毛がはみ出てるぜ。笑う。」
アランは、スタンの肉球を揉み揉みする。
スタンは、嫌がり地面に降りると、大型犬ぐらいになった。
「どれが通常サイズだよ。」
これがヘル種の大人サイズだろうか。
いや、威嚇のために、でかく見せているな。絶対。
「しかし、子供のころは、肉球が柔らかくて可愛かったな。……今じゃ、硬い。」
地面を駆け回っているから、肉球は硬くなってしまったようだ。残念。
アランは、魔女の地図にあった野原にたどり着いた。
春の心地よい日差しがアランを照らす。
先ほどまで、暗い森に居たので、ちょっと目が痛かった。
「素晴らしいな。」
人も来ない野原は、たくさんの花で溢れていた。
しかし、この森には、魔獣が多くいそうだから、こんな見通しが良いと危険だよな。
「って、スタさん、止めろ!」
スタンは、喜んで野原に駆け出していた。
そして、
「出た、やっぱり。」
羽の生えた魔獣が、スタン目掛けて低飛行でやってくる。
スタンは、急ブレーキかけて戻ってくる。
「こういう時は、俺のところに戻ってくるのな。」
アランは、呆れながらスタンの後ろに防御壁を作った。
魔獣は、急カーブで防御壁を避けると、空高く飛んで行った。
暗い森のほうが安全か。
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