第四話 祈り
ある日のカウンセリングで、私は担当のカウンセラーと話をしていました。
「今、指導員になるために頑張って訓練をしています」
「○○さん、指導員になりたいって言ってたものね。でも、あれだけ状態が悪かった○○さんがここまで良くなるなんて奇跡としか言いようがありませんね。頑張ってください!きっと、なれますよ!」
実は、主治医も私がここまで良くなったことにとても驚いていたのです。正直なところ、主治医は私が良くなることを諦めていました。しかし、あの最悪の状態からここまで回復して驚きを隠せないという感じだったのです。でも、それによって「希望」ができたそうで、他の患者にも「諦めるな!」ということを伝えているみたいです。
そして、主治医の正式な許可が出たので私は「一般就労」の活動を始めました。
でも、そこで私は壁にぶつかりました。
そういった施設で指導員として仕事するのには「運転ができること」が必須だったのです。かなり昔に運転は少し経験ありましたが、障がいが分かった時に、私の場合は全体運動が苦手という特性があったので、運転してはいけないことになっており、免許を返納してあったのでした。
私は愕然として、指導員になることは難しいかもしれないと半ば諦めていた時です。
私はある日、友だちに会いました。そして、友だちに言われたのです。
「諦めずに頑張って!調べたら車の運転が必須じゃないところもあるかもしれないし!」
そう言って、私は励まされて根気よくさらに深く調べました。しかし、やはり
どこも運転が必須になっていたので、私は「無理かも・・・」と思いました。でも、何もせずに諦めることができなかった私は、ある施設が指導員を募集していることを知り、運転必須とは記されてましたが、直でそこの施設の電話して聞いてみました。
そこはかつて私が利用者としてお世話になっていた場所だったのです。
電話を掛けて、私は直接「運転ができないとやはり無理ですか?」ということを聞きました。しかし、相手の方からの返答は意外なものでした。
「運転は出来るのであればありがたいですが、運転ができないから面接が受けれないというわけではありません。もし、○○さんが面接を希望するのであれば日時を設定しますよ」
私はその返事に嬉しくて、すぐに面接をお願いしたいという旨を伝えました。その時の電話を担当してくれた方、そして、面接をしてくださった方は、私が利用者の頃にお世話になった方でした。
その上、その場所は私の第一希望の就労場所だったのです。
人によっては「元利用者として働いていたところで指導員なんてやりにくくないかな?」と、感じるかもしれません。でも、私は「指導員になりたい」と思った時に、浮かんだ場所がそこだったのです。
私はそこを利用してる方で何人か「寄り添ってあげたい」という方が沢山いたからです。そして、その方たちの背中を押してあげることができればと感じたからでした。
面接を受け、その時に私はその思いを正直に話しました。
面接が終わり、合否は電話連絡するということになりました。いつもなら数日で連絡をすることができるみたいなのですが、今回はまだ私の後に面接を控えている方がいるということだったので、一週間ほど連絡を待つことになりました。
その間、私は何をしても落ち着かず、合否の連絡を待ち続けていました。不採用だったらどうしようという不安な気持ちが頭を駆け巡ります。
私は携帯電話を片時も離さずに連絡を待ちました。
そして、ある日の朝に携帯電話が鳴り響きました。画面を見ると、面接を受けた施設からです。
私は呼吸を整えて電話に出ました。
そうして結果を告げられたのです。
「○○さん、採用します」
私はその時に嬉しくて嬉しくて涙が溢れそうになりました。
第一希望の場所に「指導員」として仕事ができることになったのです。
******
次で、最終話になります。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
最終話は、私の気持ち、願い、想いを綴っています。
どうか、最後までお読みくださいm(__)m
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