第三話 私の気持ち
利用者として、また仕事をしていく日々の中で、私はある「想い」が芽生え始めました。
「いつか、こういうところで指導員として働きたい・・・」
私はそう思うようになったのです。
きっかけは学童保育所で先生をしている時にふと感じたのです。
「苦しんでいる人に寄り添って、前に進めるように背中を押してあげることができればいいな・・・」
そんな気持ちが芽生えてきました。学童でも、いろんな子供がいます。その中には心が不安定で苦しんでいる子供もいました。
そして、私の中で一つの希望が生まれました。
「障がい者施設で指導員になってそういう方たちの力になりたい・・・」
そう感じて、私はその時に働いていたところで「指導員になりたい」という希望を出しました。そして、訓練をさせてもらうことになったのです。
いつかその仕事ができるように、私は訓練に励みました。
その頃辺りです。一緒に暮らしていた男性が私に言いました。
「出てけ!!」
そう言ってきたのです。
きっかけは、私が同じ職場の男性とウォーキングをしたことが気に食わなかったという事でした。でも、アパートに連れてきたこともありませんし、浮気とかいった類の関係では全くなかったのです。
自分はアパートに同じ職場の女の子を呼んだり、飲みに行ったり、時にはアルコールが入った時に自慢げに「俺はモテる」とか豪語して問題行動とかをしていたのに、私が健康のために一緒にその男性とウォーキングすることをすごく嫌悪したのです。
正直、呆れかえりました。これまででも、自分のやっていることは全部棚に上げて、自分の言ったことややったことを都合が悪くなると全部私のせいにして責め立てられたのです。それは、男性のアルコール依存が原因でした。
私は何度も「ちゃんと治療しよう!」と、言いましたが男性はそれをかたくなに拒否しました。「自分はアルコール依存じゃない!」と言って治療を受けなかったのです。男性も障がい者なので主治医がいます。男性の主治医からも治療を受けるように言われていたし、ストレスでは飲んではいけないとも言われていました。しかし、男性は主治医の言葉を全く聞かず、私の言うことも当然聞かず、何かと理由を付けて毎日のようにアルコールを飲んでいました。
時には救急車で運ばれた時でも、処置が終わって帰ってきたら速攻アルコールを飲むということをしていました。救急車で運ばれて処置が済んで私の親が迎えに来てくれてアパートまで送ってもらうという、周りを巻き込んでいるのにも関わらずに帰ってきたらアルコールでした。
一緒に暮らしていた男性はよく口癖のように言っていた言葉があります。
「俺のモットーは他人に迷惑を掛けないことだ!」
よくそう言っている割に、私や周りの人に多大な迷惑を掛けていたのです。それを分かっているのか分かっていないのか、私はほとほと呆れてものが言えませんでした。
そして、私がウォーキングから帰ってきた時です。帰ってきた私を睨みつけその言葉を吐き出したのです。
私はその言葉の通りに家を出て、実家に戻りました。
勿論、男性が本当に出ていってほしいわけではなく、怒りからその言葉が口から出たのは分かっています。でも、私はこの暮らしの日々にかなりの疲れがありましたし、私に興味を無くして簡単に他の女にフラフラするこの男に、もう何も未練はありませんでした。
こうして、アパートの暮らしが終わりを迎えて私は実家に戻りました。親はとても喜んでくれました。そして、仕事は辞めずに、実家から通所することにしたのです。
その頃辺りです。その施設が採算を取れてないことからじきにその施設を畳むことを知りました。
そこで、私はいったん違う施設に移ることにしました。新しい場所でも私は「指導員になりたい」という希望を出して訓練をさせてくれることになったのです。
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