第27話 文化祭なんてどうせメイド喫茶かお化け屋敷でしょうが?
私はありとあらゆる少女漫画やBL漫画特に学園モノを読んできた。
だからこの季節、クラスで文化祭の出店を何にするかでクラスは話し合っていた。
ふっ、どうせ定番のメイド喫茶かお化け屋敷でしょうね。そしてメイド服を着たこの私がイケメンと他のクラスを周ったりして青春が始まるのよね!
と出店の出し物を決めるクラスの皆の様子を見て想像する。
魚住が私のメイド服を見て普段と違う様子に照れたところまで余裕で想像できたんだけど、
その時悲劇は起きた。
「じゃあうちのクラスの出店は坊主喫茶に決まりました。よろしくお願いします!」
と
とんでもないことを言い出した!!
ちょっと待って!?
あんまり聞いてなかったけど、
ぼぼぼ、坊主ってあの坊主よね?
お坊さん!?喫茶!?なんじゃそら!?
亜種にもほどがあるでしょ!!
「えー、近年、普通のメイド喫茶だと客の何人かが女子にセクハラする問題があり、普通のメイド喫茶を出すのは辞めたので今年は女子も男子も坊主でお願いします。
桂はシフト制で交換しますが、マイ坊主カツラが欲しい人はトンキで買ってきといてください。マイ坊主カツラには予算はおりません」
と委員長が言い放つ。
いや、これ女子も坊主カツラ被るって何よ!?お笑いじゃない!!
基本女子は女子が被ったカツラを使い回すようだ。男子も同様だが、
「きゃー、魚住くんの使った坊主カツラ次に使いた〜い!!」
と女子達は魚住坊主カツラを所望のようだ。
いや、待って、魚住が坊主になるところまではいいんか!?あんたら憧れの王子様が坊主カツラ被ってても好きとかなかなかだわ。
女子グループも別れて早速坊さんの袈裟みたいなヤツの採寸を計り始めた。
私の番になり、女子達が手際よく計った。
本当に皆坊主に納得しているのがもうおかしい。ここ、異世界じゃ無いわよね!?
坊主喫茶なので渋い湯飲み茶碗や和菓子がメニューの中心となっている。オブジェに何故か変な仏像まで持ってきた奴がいる。
BGMが般若心経で、うどんや蕎麦を注文したお客さんには海苔で坊主がハートを作ると言う訳のわからないサービスをする事になった。
「お客さんへの呪文はお経風に棒読みで『オイシクナアレ〜ナンマイダー』とかでよろしくお願いします」
と副委員長が無茶苦茶を言うが別に反対者がいない!
いやおかしいだろ!突っ込みたいが皆黙っているから言えない!!
そもそも般若心経と南無阿弥陀仏って宗派違わない!?いいの!?そんなニワカで!?そりゃたかが文化祭だからそんなこだわらなくてもいいけど、仮にもし万が一本物の住職さんが客に来ていたらどうすんのよ!?怒られるわよ!!?
と私は脳内で突っ込んでいたけど誰も何も言わないからもう放っておいてとりあえず準備を始める事になった。
とりあえず飾り用の花を黙々と教室の隅っこで1人で作っていると魚住達の陽キャ達は盛り上がっており楽しそうに
絵の具で看板作りや畳を運んできて
「雰囲気あるしその辺に百人一首とか並べとく?」
「いいね!」
「きゃー魚住くん流石ー!!」
けっ。
そうこうしているうちに何日か過ぎてようやく坊主衣装ができてきた。
魚住達が早速着ている。
しかし意外な事に坊主でもイケメンだからか他の男子達がジャガイモ過ぎるのかは知らないが魚住は案外坊主でもカッコよく決まっていた!!
それに女子達はスマホ連写で撮りまくり
「きゃー!魚住くんお坊さんバージョンでも全然いける!!」
「かっこいーー!!」
「いやーー!素敵ーーー!!」
と黄色い声が飛んだ。
しかも偵察に来た他のクラスの生ゴミ、恵比寿柚乃も隙間からハアハア言いながらスマホを連写していた。キモッ!
花づくりが終わると当日のくじ引きで私は午後からのシフトで坊主の格好をしながら校内をチラシを持ち練り歩く恥ずかしい客引きの役になってしまった!せめて接客要員が良かった!!
校内中に笑われながら見られるじゃん!!しかも郊外から来てる客にも!!柚乃にもおそらく見られて爆笑されるだろう。こう言うのは男子がやれよ!!
アパートに帰ってシクシク泣いてると魚住が
「お嬢様、お祖父様が当日お嬢様の文化祭観にこられるそうです!良かったですね!」
「ぎ、ぎゃーー!!な、なんでお祖父様がっ!!バカなの!?なんでよ!!
連絡したの!?」
「はい、喜んでましたよ。お祭り好きですしね、お祖父様」
ひいいいいい!!あんのじじい!!来んなあああ!!身内にも坊主姿見られるなんて嫌過ぎる!
「いや、上手くいけば逃げられるわね!私チラシ係だし!お祖父様が帰るまで隠れ切ってみせるわ!!」
と私は決めた!
「いや、美玖様がチラシ係だと伝えてるから黒服たち総出で探し出し、写真撮ると張り切っていました。隠れても無駄だと思う」
「なんでよっ!!くっそ!あのじじい!逃走中かよ!!」
と悔しくなる私!どうせなら賞金つけろよ!!
「俺もお嬢様も午前は暇だから一応一緒に行動するぞ」
「えっ!?」
な、なんで急に!?いつもなら放っておくのに!?
「文化祭は郊外から来る客が多い。お嬢様を暗殺しようとする闇のものが紛れてくるかもしれないからなぁ。小檜山財閥の娘を誘拐とかあり得るから」
ええっ!?
「それを言うなら私午後から1人でチラシ配りなんだけど、坊主の格好して」
と言うと魚住は
「それなら大丈夫だ。まさか小檜山財閥のお嬢様が坊主のアホみたいな格好してチラシ配りしてるとか誘拐犯も思わないだろう!
坊主カモフラ作戦だ。他にもチラシ係は何人かいるし、パッと見辺りのお嬢様坊主を引く可能性も下がる。
黒服たちもその為に全力でお嬢様を探すだろうし」
「お嬢様坊主ってなんかやだわ」
「因みに高清水くんのところは【優しいお化け屋敷】をするらしい」
「いや、なんなのその【優しいお化け屋敷】って!!?めちゃくちゃ気になってきた!!」
「まぁ当日のお楽しみですな」
と魚住はパンフを見て笑った。
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