第2話

眞蓋那は後ろを振り向いた。

誰もいない。

後部座席の上は先ほどから降り出した雨の跡が夕闇に濡れて光沢に光っていた。

(誰かいたんだ)

眞蓋那は心の中で大声を出した。

「どうしたの」

梓か心配そうに話しかけてくる。

梓には聴こえなかったのだろう。

(ひとつ条件がございます。梓と別れること。

それが新しい人生を差し上げるための

条件でございます)

心の中で男の低い声が響いた。

眞蓋那は梓を見た。

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