(さまざまな条件下で)人生を何度も繰り返して生きた男
@uwm54213
第1話
眞蓋那(まがいだ)真一は二十五歳で公務員だった。
眞蓋那は毎日が本当につまらないと感じていた。
だが現状を打破する方法が眞蓋那には皆目見当が
つかなかった。
よくある話だ。
ステロタイプの中のステロタイプ。
しかし、眞蓋那にとっては途轍もなく深刻な状況だった。
このままでは何もしないうちに人生が終わってしまう。
眞蓋那は頭を抱え続けた。
「眞蓋那さんはイケメンね」
ある夜恋人の中野梓がクルマの助手席で意外なことを言った。
「そっ、そうかな」
眞蓋那は焦りを隠せなかった。
「俳優にでもなったらいいのに」
「もう遅いよ」
「そんなことないわよ。まだまだこれからよ」
「そうかな」
眞蓋那は悪い気はしなかった。
俳優になったらと言われたのだ。お世辞にしても
嬉しかった。
そのとき後部座席から低い声が聴こえた。
「人生をやり直させて差し上げましょう」
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