第35話「ダンジョンからの脱出」
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「やったー!!
ダンジョン踏破やー!!」
アルメイヤが歓喜の声を上げえる。
[ビッグヒールスライムをやっつけた。
唯臣はレベルが8に上がった。
力が25上がった。
素早さが26上がった。
体力が22上がった。
賢さが25上がった。
運の良さが70上がった。
最大HPが80上がった。
最大MPが80上がった。]
大きなイソギンチャクの様なスライムは燃えて煙になり消えて行った。
そこにただ残るのは大きな魔硝石と、何かコロコロとした手のひらサイズのオーブの様なものだった。
「あぁ、これや!
これがダンジョンコア。
これをギルドに持って行ったらダンジョン踏破の認定してもらえんねん。」
アルメイヤが言う。
唯臣はダンジョンコアをまじまじと見る。
中は紫のビー玉の様な透明で、じっと見つめるとゆらゆらと揺らめいている様に見えた。
「……終わった?」
キョトンとした目でアルモナが問うてくる。」
彼女は事が終わるまでボスの入り口前でずっと待っていたのだが、大きな魔物が燃えて消えたぐらいから戦いが終わったと思って真ん中へ歩いてきたのだった。
「アルモナちゃん終わったで~。
あたしらのナイト様が倒してくれはったわ。」
唯臣を見ながらニヤニヤとするアルメイヤ。
「……ナイト?」
再び首を傾げるアルモナ。
沈黙する唯臣。
「……まぁええわ。
ほなら帰ろう。
ダンジョンコア使ったら簡単に入り口まで戻れるから。
握って入り口へ帰りたいって強く念じてみ。
ああっ、アルモナちゃんの手を繋いでな。」
アルメイヤが言う。
唯臣は言われるままにアルモナの手を繋ぎダンジョンコアに念じてみた。
………………。
…………。
……。
唯臣は目を開けるとダンジョンの入り口に戻って来ていた。
辺りはもう既に薄暗くなっており、見上げると空は赤く小焼けている。
「ほら、ついたやろ。
久しぶりの地上や!
ほんでちょうど夕方やん。
約束通り帰れるで。」
アルメイヤが言う。
「それにしても、ダンジョン楽しかったなー!
めっちゃ冒険したわー。
これからこんなんめっちゃあるんやろうなぁ!
唯臣も楽しかったやろう?
こっちの世界来て良かったやろう?」
アルメイヤはニコニコして言う。
唯臣はアルモナを見た。
彼女も無事地上に戻って来れている。
辺りをきょろきょろと見渡して、お腹をくーっと鳴らした。
唯臣はくすっと笑った
―――異世界に来て良かったか?―――
それの答えは既に出ている。
―――唯臣の中にはたった一つしかやりたい事などないのだ。
「ほな帰ろうかー!」
アルメイヤが腕を振り上げながら言った。
…………。
……。
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