第14話「冒険者ギルドへの登録①」

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 騎士団支部で色々と白熱した次の日の朝。

朝の光が枕元に届いて目を覚ます唯臣。


 ベットは5人くらい寝れるのではないかと言うほどのキングサイズ。

4人分ほど離れた位置でアルモナはまだ寝息を立てている。


 本来”占有預かりの楽奴”は、床であったり、小さく藁を敷き詰めたような茣蓙ござで寝かすのが通例らしい。

 しかし、唯臣はそれは可哀想だと、同じベットに寝かしている。


    "コンコンコン"

 ノックの音が鳴る。


「唯臣ちゃん!ごきげんよう!」

オルフィーは、スカートの端を掴んでお辞儀をした。


 唯臣は、会釈をする。


「今日は、冒険者ギルドへ登録しに行くわよ!!」


 本日もオルフィーの勢いのまま身支度させられる唯臣。


 ”パッカラゴロゴロ”と馬車は走って行く。

メンバーは昨日と同じ4人。


 ギルドは中世の様な美しい石畳の路地を抜けた、街の隅にあった。


 緑の屋根の武骨な大きなログハウスの様な建物。

レンガ造りではなく、木で作られたそれは、中世風な建物群の中、異彩を放っていた。


「初めて見ましたわ。

 冒険者ギルド……。

 なかなか男勝りな様式の建物ですね。」

オルフィーが感想を言う。


 そのままギルドの大きな両開きの扉を開けた。


      ”ガヤガヤガヤ”


 入ると、かなり広く感じる1フロアだった。

沢山の冒険者であふれている。

木のフローリングでロビーにいくつもの立ちテーブルが置いてある。


 そこに気の合う仲間で集まっては、酒を飲んでいるようだった。

冒険者は、男女関わらず在籍しているようだ。

女は、盗賊の様な恰好、魔法使いの様な恰好、あるいは聖職者の様な恰好をしている人が多い。

男はだいたいが筋肉量が多そうで、いたるところに武勲の様に傷がついていた。


 喫煙も可能らしく、天井は煙がモクモクと立ち込めている。

騎士団支部の清潔感と打って変わって、ライブハウスのように、小汚さが逆に趣を出していた。


 オルフィーを先頭に、飲んだくれる冒険者の中を掻き分けて、受付を目指す。


「おっ、ソンギブ家のお嬢じゃねーか。」

「きっと、良い依頼置いてってくれるぞぉ!」

冒険者が口々に言う。


 ソンギブ家は、他国にも十分に伝わるほどの名家である。

冒険者達も顔を見ただけで、オルフィー・ソンギブだと言う事が分かるらしい。


「ごきげんよう!

 冒険者の登録に来たわ!」

受付に着いたオルフィーは、受付嬢に申し出る。


やる気のなさそうな、机に突っ伏す女性に話しかけた。


「あらぁ~。

 超イケメン。

 わたしは冒険者ギルドのアイドル、”フレイア”よ。」

オルフィーの方は全く見ずに唯臣だけを見る受付嬢。


 赤茶色の髪のポニーテール。

豊満な胸が零れ落ちそうなほどタイトなキャミソールに、フワッと白いストールを羽織っているだけのかなりの露出度の高い服装だ。


 唯臣は会釈する。


「……私がお願いしているのです!

 手続き、申請書をお持ちいただけないかしら?」

ムッと来たオルフィー。


「はいはい、これでしょ。

 ……あぁ。

 でも見れば見るほどいい男ね。

 今晩どう?」

雑にオルフィーに申請書を渡し、いよいよフレイアは唯臣の手を握ってすりすりしだした。


「……。」

無言でサラサラと書き込んで行くお姉ちゃん。


 その間にも唯臣にちょっかいを掛け続けるフレイア。


        ”ダンッ”

 書き上げた申し込み書をフレイアの前に叩きつけた。


「さぁ、これで手続きをお願いしますわ!!」

イライラは頂点である。


「あぁ怖い怖い。」

そう言いながら、申込書の名前の欄を確認する。


「あらぁ、あなた唯臣って言うのね。

 可愛い名前。

 ……はい、申込書を受け取ったら手続きは完了よ。」

フレイアは唯臣をチラチラ見つめながら仕事をこなす。


「あとは唯臣にギルドの説明をするから、保護者さんは帰ってくれるかしら?」

手をヒラヒラとさせながら言うフレイア。


「保護者なら、大切な弟のお仕事の説明は一緒に聞かなければなりませんね!!」

静かに声を荒げてオルフィーは言った。


      ””フォオオー!!!””

 オルフィーの返しにフロアは大盛り上がり。


「もっとやれー!」

「美人共のケンカなんかなかなか見られねーぜぇ!」


 気付けばこの受付での小競り合いを冒険者達が取り囲んで観戦していた。


 冒険者ギルドでの女の戦いはまだ続く……。


…………。


……。


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