第23話「チケットの完成!」

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「「紙が出来た〜!!」」

キヨラと幸の大喝采。


 縦約2m、横約1.5mの大きな紙。

棒に巻き付けて作ったので表裏で2枚出来た。

それを端の所で、サイクロプスが切り落として完成。


「これをだいたいこのぐらいに切って欲しいんだ!!」

幸は両手の平を使い表現する。


 チケットのサイズは、だいたい縦75mm.横150mmくらいだろうか。

それであるならば、だいたい一枚につき250枚程チケットが作れる計算だ。


 サイクロプスが目にも止まらぬ速さで切り分けていく。

それをみんなで拾い集める。


 500枚の紙切れ。

 それの一枚に昨日のキャンプファイヤーの燃えカスの炭で、キヨラが字を書く。



〈この世の物とは思えない、不思議な世界へご招待。

 今宵限りの見世物へあなたをご招待します。〉



「ダースパちゃん!

 この黒をなぞりながら、カラフルに糸で彩って!」


「任せて!」

キヨラの要望に応え、大蜘蛛は、様々な色の糸を使って職人技の様に、文字を浮き彫りにしていく。


 朝から始まったチケット作り。


 最後は手書きの地味ながらに大変な作業。

幸は転生の特典なのか、


 ただ、読むというよりかは解るという感覚である。


 幸も、字を模様の様に捉えて、キヨラの書いた字を同じようになぞり、炭字を担当した。


 ダースパちゃんと3人で黙々とチケットを完成させて行く。



………………。



…………。



……。



 日が1番上に上がった頃に、ピーネが起きて来た。


「幸!キヨラ!

 何してる!

 なんか書いてる!!」


チケット作戦の事を知らないピーネが、そう叫びながら、空からやって来た。


「ピーネ、遅過ぎー!

 みんなの力を借りてこれを作ったんだよ!

 ほら最後の一枚!!」

キヨラがそう応えながら、書き切った腕を高く上げた。


 最後にカラフルな糸が紡がれ……。


「「みんなありがとう!!」」


「「「「「「「チケットが出来たー!!!」」」」」」」


 制作に関わった、スライム、サイクロプス、大蜘蛛、ケンタウロス×2、そしてキヨラと幸が大きな声で喜び合う。


 ピーネも良く分かっていないが大はしゃぎ。


「なんだこれ!

 この紙なんなんだ?」

ピーネがチケットを掴んでヒラヒラする。


「これを、バーウの村の人達に配るんだよ。

 俺がいた世界での、ライブを見るための許可証みたいなもんだね。」

幸が事情の知らないピーネに言う。


「あとはこれを配るだけだけど……。

 人は受け取ってくれるのだろうか……。」


 結局、楽器を持っていた、幸もキヨラもバーウの村の人に嫌われており、チケットを渡すと言う行為が1番大変である。


「それはもうやってみるしかないね。

 でも、きっと大丈夫。

 幸がみんなの為に精一杯頑張るんだよ!

 絶対気持ちみんなに伝わるよ!!」

キヨラは笑顔で告げた。


「俺は何したらいい!?

 俺ももちろん手伝うからな!!」

ピーネが胸を“どん”と打ち、任せろのポーズ。


 “どん”に合わせて“ぶるん!”と何かが跳ねた。


 今から行けば、チケットを配りに奮闘しても、夜にはギリギリ間に合うだろう。

やはりバンドのライブは夜なのである。


 幸、キヨラは自分の楽器とハープを持ちピーネに掴まれて、またバーウの村へと飛んでいくのであった。


…………。


……。


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