第145話 夢姫、挑戦する。(9)
「夢姫様!?」
息を切らしながらやってきた面倒姫は、馬車を出そうとしている夢姫に驚きます。そんな面倒姫をちらりとも見ず「早く出して」と冷たい声で言い放ちます。
「夢姫様!」
面倒姫が大声をあげるも虚しく、夢姫を乗せた馬車は動きだしました。王族を乗せた馬車はそんなに早く進まないので、面倒姫は急いで召使いらを乗せてきた馬車へと乗り込みます。
「夢姫様を乗せた馬車を追って!」
胸騒ぎがしていました。夢姫が王城へと帰るだけなら、面倒姫を振り切って馬車を出さなくても良いのです。「夢姫様は王城へと帰られないのかもしれない。それはなんとしても阻止しないと」と面倒姫は思いました。
夢姫を乗せた馬車は、迷いなく城下町の中を突き進んでいきます。「一体どこに向かわれているのかしら」と面倒姫はごくりと唾を飲み込みました。
しばらくすると、あるところへと馬車が入っていきました。そこは面倒姫も見覚えのある場所です。「どうしてここなのかしら」と思ったものの、馬車から降りる夢姫の姿を見つけたので、面倒姫も馬車を停めて降りました。
「夢姫様!」
まさか面倒姫が追いかけてきているとは思わず、夢姫は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をします。エメラルドの瞳が今にも零れ落ちそうです。
「面倒姫様、どうしてここに」
「それはこちらの台詞です。なぜわたくしを置いてこちらへ?ここは第二王子の隠れ家ではございませんか」
夢姫がやってきていたのは、以前城下町の散策の際に訪れた第二王子の隠れ家でした。問い詰められ、夢姫は麗しい唇をまごまごとさせます。
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