第4話~テレパシー~
「エンディ!!エンディ!!ねぇ!聞こえてる!?返事をして!」
「あぁ……煩いなぁ………ちゃんとテレパシーは通じてるよガサツ女。自分の意思とは無関係に、残酷な程ダイレクトにね」
「何よその言い方、なんかムカつく………」
「それはこっちの台詞だよ、ナミ」
「う~~~ん………まぁいいわ!!それで?ペテルギウスに潜入してから、首尾は上々なのかしら?」
「あぁ、今はもっぱら透明モードで、ペテルギウスの見聞を広めてる最中かな」
「ふーん………その映像が見たいかも?」
「了解……これでどう?届いてる?俺が見た景色達の資料を、今送信してみたけど」
「ちょっと待って………あぁ今届いたわ。煌めく星を超えてあたしの所に~~~♪」
「最後の表現が気持ち悪すぎて、思わず無になった」
「ちょっと!どういう事よ!!」
「あぁ~~~煩い煩い煩い………!!ナミ、こういうのをテレパシーの無駄遣いって言うんだよ?いいから確認を早くしてくれないと。はぁ………本当に手がかかる相棒で嫌になる」
「ふん!!!確認するわよ!!すればいいんでしょ!えっと………何これ……これがペテルギウスなの??」
「あぁそうだよ……変わってる星だよね。俺も正直予想外だったかな」
「前情報にも驚いたけど、あたしの知識にあまりにも反するわ。本当に星全体が穏やかな星なのね。もう少し嵐が絶え間なく吹き荒れている場所があったり、荒廃してる所があるはずだと思ってた」
「不思議だよね。俺もそれには1番びっくりしてるんだ」
「それで?他には??」
「あぁ……次のカラーを開くといいよ」
「次のカラー……えっと、あぁこれね」
「どう??確認出来た?」
「これがホワイト?この星のキングだっていう」
「あぁそうだよ。俺も遠くから覗き見しただけだからまだ情報は少ないんだけど。どう?ナミのファーストインプレッションは」
「”白い”……かな」
「何だよそれ、笑わせないでよ。そんなの見たそのまんまの感想じゃないか」
「失礼ね!あたしはと~っても素直なの!!率直な意味で言ったまでよ。白髪に真っ白い長い髭、真っ白い衣、そして何よりも身体まで真っ白。こんな種族もいるのね、でも……」
「でも?」
「内側も真っ白なのね。変わってる」
「宇宙一の変わり者のナミに言われるなんて同情する。まぁあれじゃない?オリオンの精神構造はシンプルで、太陽系の感情の概念とはかけ離れてるし、そのせいじゃない?」
「それはあたしも聞いて知ってもいるけど、それにしても……」
「しても?」
「それ以上なのよ。何て表現していいのかわからないけど、兎に角!!!”白い”の」
「ふーん、じゃあ逆に?MISSIONはやり易いかもしれないね。そんなに無垢なら、俺という存在をすぐに受け入れてくれそうじゃない?」
「そうね、それはあっさりクリア出来そうかも。だからこそ総督は、エンディをまず送り込んだわけだろうけど」
「了解。じゃあ、少し眠りたいからオフにしてもいい?俺、オリオンに来てから働きずめでクタクタなんだ」
「嘘ばっかり。まだ全然チャージは必要ないって回路が教えてくれてるわよ」
「ちえっ………あの心臓回路、そんな機能まで備えてたんだ。あーやだやだ、こんなのプライバシーの侵害じゃないか!!」
「シンクロ率をあげる為には仕方ないじゃない。その為に発明したんだから。少しは相棒であるあたしの腕を、認めて欲しいものだわ」
「それはいつも思ってるし、ちゃんとナミに俺はいつも貢献してるじゃないか。あぁ俺ってなんて温かいんだろ。ナミは真逆で冷たいってのにさ」
「そんな事ないわよーーー!!!」
「あぁ……もう……またテレパシーの無駄遣いしてる。じゃあ今からの予定を伝えるからさ、ちゃんとメモリーしといて?」
「はーい♪」
「いつも返事だけはいいんだよなぁ……えっと、今から俺は透明モードを解除し、旅行者としてホワイトへの謁見を申し込む」
「旅行者なんて肩書き、キングであるホワイトは信じないと思うわ」
「だろうね。だからいいんじゃない?この汚染された星に、普通にやってきた異国の種族に興味を持ってもらえるはず」
「そうね………興味さえ持って貰えたら話は早い」
「あぁ………とりあえず俺からの報告を待ってて?ナミはいつでも出立出来る様に、準備を整えといてくれたらいい」
「わかったわエンディ。報告を待ってる」
「絶対に一人で勝手に暴走して動かない事、いいね?」
「そんな事しないわよ……」
「絶対に動かない事!!いいね?わかった?」
「うん…………」
「うん??」
「はーーーい!!!!これでいいでしょ!!」
「はぁ……いつも迷惑かけられても耐えてる俺って、なんて温かいんだろう」
「エンディ!!!」
「ハハハハ、じゃあまたねガサツ女」
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