第8話 試験
時は過ぎ、夏休みが始まろうとしていたころ、
「うわ、明日からテストだ」
「やばい。なんも勉強してない」
「俺もだ」
そんな言葉がクラスを震わせた。
そんな時、僕はというとーー
「テスト?楽勝」
そんなことを口ずさんでいた。こう見えて僕は復習、予習はその日に済ませ、課題も一か月前には終わらせてしまう、いわゆる”優等生”だ。
テストの順位は五位から下はとったことない。
そして彼女、矢崎はというと……
「あー!!テスト勉強わからないーーー!!!!」
「はぁ、、、」
「教えて!!!!」
「前日には教えることはなんもないなぁ、、、」
「この偽善者!!!!」
全然勉強ができなかった。
彼女が小学校の頃は勉強は意外とできていた記憶がある。だが、この数年の間で勉強に燃え尽きてしまったのだろう。全然できない。
この前の中間は最下位をとっており、僕に泣きついてきた。もちろん僕は何もできないので、見放す形になったのだが、彼女を助けたいという思いはずっとある。
「まあわかんないけど、とりあえず社会とか理科とかなんとか暗記でカバーできる教科を優先的にすればいいんじゃないか?」
「それが出来たらこんだけ苦労すると思う?!」
「いやまあ、そりゃそうだけど、、、」
「そうでしょ?」
「、、、ごめん」
「で、どうすればいい?」
「申し訳ないけどもうこれ以上何もできることはないよ、テスト中は白紙の解答用紙を見守るだけさ」
「はぁ?!信じられない!」
「いや、矛盾してるやん」
「もう、どうすればいいのー!!」
彼女は叫ぶようにこういった。僕はそれを冷静に見守るしかなかった。彼女が点数を上げようという意志がない限り、他人である僕が点数をあげることは不可能である。
「ねえ、まってよ!!!」
僕は自室に逃げ込んだ。これ以上絡んでいると、明日のテストが間違いなく動揺の点数になってしまうと感じた。
「テストどうだった?」
「ん?普通」
「いいなぁ、優等生は」
「お前らが勉強してないだけだ」
「うわ、残酷すぎ」
五味にテストの感想を聞かれたがいつもとそこまで変わらなかったので、普通と返した。
「あんだけ叫んでたけどテストどうだったんだ」
「……」
「おーい」
「……」
「おーい」
「……」
「大丈夫k」
「ねえ、何が聞きたいわけ?」
「え、あなたのテストの結果」
「ああ、はいはい普通に悪かったですよ、いいですね優等生は」
「あーはい」
僕は落胆する彼女を見てそれ以上聞けなかった。
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