第27話 もしかして犯人ですか?

医務室は本校舎の一階にあり、隣接する第一演習場からは

それほど遠くはなかった。

本田は優美に合わせて、ゆっくり歩き進めたが

ほどなくして、2人は医務室に着いた。


すでに下校時間は過ぎているため、医務室には

誰もおらず、真っ暗だった。

電気をつけて、本田は優美をベットに座らせると、自身も近くにある椅子に腰かけた。


「具合はどうだ?一条」


「ええ、大分楽になりました」


「よかった。あの水魔法を受けた時はどうなることかと思ったよ」


本田の言うように、あれだけの魔法を受けてよく無事だったと優美は自分ながらに感心する。

丈夫な体に生んでくれた両親に感謝した。


「それで一条。水上のあの魔力、お前はどう感じた?」


「はい。異様な魔力でした。私の風魔法を受けた後

何か口に入れていたように見えたんですが」


「なるほどな。それで福田の時と比べてはどうだ?」


「え?」

本田のこの言葉に優美は少し驚いた。

確かに、福田の時と同じ魔力を感じたのは確かだったが

どうして本田がこのことを知っているのか不思議だったからだ。


「ええ。確かに福田くんの時と同じ魔力を感じました。

どうして先生がそのことを知ってるんですか?」


優美の言葉に本田は少し慌てる。


「いや教員全員、河原でのことを学園長に聞かされていたんだ。それで、もしかしたらと思ってな」


「そうですか‥」


「それで、福田の時と比べて、水上の魔力の強さはどうだった?」


急かすように次々と聞いてくる本田に

優美は不信感を抱きながらも質問に答えた。


「ええ。福田くんの時よりも強い違和感がありました。

より強大な魔力を得た感じがしたといいますか‥」


優美のこの言葉に本田はなにやら納得したような表情を浮かべる。


「やはり2錠と3錠では、得られる魔力に大きな差が生まれるようだな」


本田のこの言葉はもはや理解できないものだった。


「先生、さっきから何をおっしゃっているんですか?」


「うん?いや、何でもない、忘れてくれ。

私はそろそろ行くからしっかり休んで帰るんだぞ」


そう言うと、本田は立ち上がってその場を去ろうとした。


「あ、あの!」

立ち上がろうとする本田を引き止めようと優美が声をかける。

すると、立ち上がった本田のポケットから小さな瓶が落ちてきた。


中には、白い錠剤が入っていた。


「あの、先生。何か落としましたけど」


「うん?」

優美の言葉に、本田は自分が瓶を落としたことに気づき

慌てて拾おうとする。


全てを悟った優美は、本田が伸ばした手を掴んだ。


「先生、この薬は一体なんですか?

わずかにですが、福田くんや水上さんから感じた異様な魔力を感じるのですが」


「....。ただのビタミン剤では納得できないかな?」


本田のこの言い草に優美は怒りを覚える。


「ふざけないでください!あなただったんですか?

福田くんや水上さんに異様な魔力を与えていたのわ!」


「一条‥場所を変えようか」


そう言うと、2人は医務室を後にした。


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