思いが現実となる世界。

「体と心が癒えるまでってどうやって暮らすんです。私何も持っていませんよ。」私は少し語気を強めて言った。

老婦人は微笑んで、「大丈夫よ。ここは思いが現実になる世界だから。試しに今欲しいものを言うか、考えてごらん」と怒るともなく言った。

今欲しいものって、そういえばお腹がすいた。「ご飯が食べたい」と言うと、テーブルに、スープとパン、鶏肉のソテーが出てきた。私はびっくりして声も出なかった。

老婦人は、「言った通りでしょう。もう少し細かく言えばそのものが出てくるよ。例えばリンゴ。」老婦人が言うと、テーブルにリンゴが現れた。老婦人はお皿とナイフを出すと、リンゴを剥き始めた。「冷めないうちにどうぞ。あ、ナイフとフォークがいるわね。」と、ナイフとフォークを出して渡してくれた。

料理はとてもおいしかった。食事のデザートに老婦人の剥いたリンゴを食べていると、「コーヒー飲む?」と聞かれたので、「はい」と笑顔で答えると、マグカップいっぱいのコーヒーを出してくれた。



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