老婦人との出会い

「おはいり」と中から女の人の声がした。

私は、ドアを開け「こんにちは」と、挨拶をした。

家の中にいたのは年齢はよくわからなかったが、おばあさんというよりは老婦人という方がぴったりな小柄で身なりの整った女性。

私は、「ここはどこですか、どうして私はここにいるんでしょう」と、矢継ぎ早に質問した。

老婦人は、「そんなに急かさなくても、ちゃんと説明するからまあおかけ」とテーブルの方を指さした。私はテーブルへ行き、椅子に腰かけた。

「お茶どうぞ」どこから出してきたのか、目の前にティカップが置かれた。

「いただきます」私はここにきてから何も口にしていないことを思い出し、ゆっくりとお茶を飲んだ。

「ここはね、疲れた人が来る世界なんだよ」と、老婦人は話し始めた。「あなたの住む世界とは次元の違うところ。ここに来たということはあなた相当疲れてるってこと。ここは癒しの世界。ゆっくりと過ごして自分の心と体を治す場所なんだよ」

私はその話を聞いても半信半疑だった。疲れていたのは確かだけど・・・。

「元居た世界が気になるかい。大丈夫ここにいる間元の世界は時間が止まっているから。」

そんなことあるの?そう思ったが「どうすれば帰れますか?」と私は老婦人に聞いた。

「体と心が癒えれば帰れるよ」と老婦人は優しく答えた。

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