第2話・一回目の転生……虫けらからスタートして……小動物……そして〔ここから三人称から一人称に書き方が変わります〕

 ロリロリ女に殴り殺されたオレは、異世界で脱皮をして虫に転生した。

 それも、空も飛べない地を這うだけの、腐葉土を食べる情けない虫に。

(こんな転生はイヤだぁぁ!)

 嘆いたところで、どうにもならないと悟ったオレは、虫けらの人生……いや、虫生をスタートさせた。

 楽しみも何もなく、ただ腐葉土の中を這い回り、腐葉土を食べるだけの毎日……同じ種類の虫とは意思の疎通そつうはできなかった。

(うぅ、惨めすぎて孤独だ)

 オレは腐葉土の中から出て広い場所を移動した。

 その時、いきなり周囲が暗くなりオレの体は岩のようなモノに押し潰された、直後に異世界住人の声。

「うわぁ、汚ったねぇゴミ虫踏んじゃった」 

 虫けらに転生したオレは、踏み潰されて……死んだ。



【二回目の転生】

 次の転生は、ネズミのような小動物だった。草原で穴を掘って、仲間と一緒に住んでいた。

 仲間と言っても、今回の転生でも意思の疎通はできなかった。

(木の根っこをかじったり、虫を食べたり……他の捕食動物にビクビクしながら、生きなきゃならないなんて)

 ある日──オレが穴から出て、異世界の荒野をチョコチョコと、食べるモノを探していた時……鳥の羽音が聞こえ、オレの体は鋭いワシ爪でつかまれ、空へと持ち上げられた。

(飛んでいる? オレ、空を飛んでいる! ひゃほぅ!)

 そのまま、異世界の猛禽類もうきんるいの巣に連れてこられたオレは、ワシ爪の足に押さえつけられ、鋭いクチバシで腹を突き破られ腸を引っ張り出され、内臓を喰われた。

(ぎゃあぁぁぁ!)

 弱者小動物に転生したオレは、鳥に喰われて……死んだ。



【三回目の転生】

 次に転生した異世界の生物は、大海を群れで泳ぐ魚だった。

(この転生は今までの転生の中で、一番いいな)

 悠々と泳いでいたオレは、仲間の魚と一緒に網で捕らえられ。

 異世界の港町にある食堂へ──そこで、まな板に乗せられたオレの腹に、異世界の料理人は容赦なく刃物を刺してきた。

(ぎゃあぁぁぁ!)

 まさに、まな板に乗った魚──料理人は手際よく、オレの身を削いでいく。

(刺身? オレの体、活きたまま刺身にされている?)


 頭と骨身だけにされて、皿の上に瀕死状態で口をパクパクさせているオレの骨身の上に。

 切り分けられた、オレの肉が盛りつけされて、オレの『活き造り』が完成した。

 客たちがオレの体を食べる。

(苦しい……早く殺してくれ)

 次第にオレの意識は薄れ、オレの意識は闇に消えた。

(これで死ねる)


 オレは頭を叩かれた衝撃で、意識をとりもどした。

(なんだ、魚のオレは喰われて死んだんじゃ?)

 頭と骨身だけのオレに醤油しょうゆのような液体がかけられた。

 激痛が骨の中に染みて広がる。

(ぎゃあぁぁぁ!)

 苦しんでいる、オレの体はそのまま、水を張った器の中に入れられ。

 器の中を骨だけで泳ぐオレの姿を客たちは、覗き込んで喜んでいるのが見えた。

(ふざけんな! こんな残酷な見世物にしやがって!)

 やがて、力尽きたオレは器の底に沈んで……死んだ。



【四回目の転生】

 オレは魚から、異世界でブタに似た家畜に転生した。

 相変わらず、同種の生物との意思の疎通はなく。

 オレは人間の時の記憶を持ったまま、家畜の本能に逆らえずエサを食べて成長した……成長の先に何が待っているのか、わかっていながらエサを貪った。


 そして、運命の日──出荷の日が来てしまった。出荷用の家畜馬車に押し込められるオレは、暴れて抵抗したがムダだった。

 何も知らない仲間の家畜は、どこか旅行気分で楽しそうに見えた。

(やめろぉ! 降ろせ! 食用の家畜はイヤだぁ!)

 そして、屠殺場に降ろされたオレの家畜転生人生は……そこで終わった。

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