第355話 小さな天才バレリーナと衣装の神様 大阪
大きなバレエスタジオだ。衣装係といっても二人とも元バレエダンサーで、今も衣装係として深くバレエに携わっている。宮崎美香バレエスタジオは関西の名門バレエスタジオだ。さすがに二人も、ここのバレエ教室の名前は知っている。緊張してスタジオに入った。
入り口で一人のバレエ教師が迎えてくれた。宮崎美香が待っていると言われ、三階の稽古場に案内された。
二階は広い稽古場で大人クラスのレッスン生たちがバーレッスンをしていた。そのレベルの高さに目を奪われるが、時々飛び交う大阪弁に圧倒される。
三階の教室では一人の女の子がレッスンをしていた。鏡の前の椅子に
女の子は『キャンディボンボン』の練習をしていた。
由香と一花は驚いた。すみれから連絡をもらって数日しか経っていない。この子が
踊り終わってポーズを取る
「
「ほな、も一回、最初から通しとこうな」
曲を流して最初から踊る。四歳の
レベルが桁違いに高い。美香からポジションを注意されていたが、
由香と
「今日はここまでや、また、明日『花のワルツ』と『おしまいのワルツ』も練習しよな」
「うん」
「うん、ちゃう、はいや」
「はい」
美香が由香と
「遠いところ、ありがとうございます」
水筒の水を飲みながら、
「お姉ちゃんら誰?」
美香が扇子で
「
「よろしくお願いします」
近くに来た
少し話した後、
「
由香と
「四歳やからなあ。衣装も可愛らしい作っといてな」
パシッと美香が隣から扇子で頭を叩く。
採寸をしながら由香と一花が顔を見合わせる。
「瑠々ちゃん、凄いですね。小さなバレリーナですね。私たちもバレエ学校やいろいろなところで採寸してると分かるんです。この子はバレエ向きとか……そういうことが、この年で、こんな恵まれた子、見たことがない」
美香が微笑みながら
「
「お姉ちゃん測りながら皆にそんなこと言うとるんか?」
「え?」
由香が驚いて
「
「ありがとう。でも、
と
「え、
「お友達や」
「へえ、
由香が笑いながら
「他の子と違うんは、普通に立ってるだけで分かるわ。お稽古中だけバレエの姿勢してる子と、普段、普通にしててバレエの姿勢になってる子の違いや」
由香と
この年でそんな風に人が見えているのかと驚く、他の子と見えているものが違うのだ。先生が皆の目の前で踊りを見せても、他の子と見ているポイントが違う、その差が彼女の人並外れた上達に繋がっている気がした。
一通り採寸が終わり、美香と話をする。
なんて体が柔らかいのだろう。由香や
「じゃあ、また、花村バレエでお会いしましょう」
由香と
「よろしくお願いします。
「ありがとう。プウちゃんの衣装も作って」
美香が
由香が微笑んで、
「可愛いね。このクマちゃん。プウちゃんっていうの?」
「クマちゃうで、トラや」
「ええ」
由香と
「じゃあ、
「うん、お姉ちゃんらも気い付けて帰りな。帰りに、たこ焼き
美香からパシッと扇子で頭を叩かれていた。
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