第314話 文化イベントのリハーサル本番前日

 文化イベント本番前日のリハーサルは花村バレエで衣装付きで行われることになっていた。

 今日は昨日に引き続き山野美佐子バレエスタジオの生徒たちとの合同練習だ。昨日は山野美佐子バレエスタジオでのリハーサルだったが、今日は花村バレエ研究所でリハーサルが行われる。


 今日もゆいや真由、キッズクラスの生徒たちは元気にやって来た。千春たち大人クラスのレッスン生も明日の文化イベント本番では手伝いをするので、リハーサルの様子を見に来ている。

 山野バレエのお母さんたちやバレエ教師たちも全員見に来ていた。

 最初に全員でバーレッスン、センターレッスンをして、昨日の注意点をさらう。

 今日は本番通り、山野バレエの『ラ・バヤデール』『かげの場の踊り』そして、ヴァリエーション。

 その後、花村バレエの『くるみ割り人形』の抜粋『ドン・キホーテ』の抜粋という流れで通す。

 花村バレエは出演者の衣装のサポートは、すみれと美織みおり瑞希みずきがする。園香そのかと真美も手伝いをする。

 美和子と香保子かほこは明日の本番も来てくれるという。二人から舞台袖ぶたいそでに付いていろいろな手伝いをしたいと申し出てくれたが、すみれたちが当日の舞台袖ぶたいそではそれほどスペースも広くないようだし、園香と真美が付いてくれれば、手伝いは大丈夫と伝えた。美和子と香保子にはお礼を言って

「今回は観客席で観ていてくれればいい」

 と話した。

 美和子と香保子は少し残念そうな表情を見せた。二人とも花村バレエのスタッフとして何か手伝いたいという思いがあったようだ。

 瑞希が二人に微笑みながら、

「また、今度の十一月のリハーサルでは舞台裏、舞台袖で、いろいろ手伝ってよ。今回は客席でゆっくり観といて」

 と言うと、美和子と香保子も顔を見合わせ嬉しそうに頷いた。


 山野バレエの生徒も花村バレエの生徒も、それぞれ衣装に着替えリハーサルの準備が整った。

 花村バレエの『ドン・キホーテ』では、今日は美織が『メルセデスのヴァリエーション』すみれが『ドルシネアのヴァリエーション』を踊る。


 最初にあやめが今日のリハーサルの段取りをもう一度伝える。山野バレエの『ラ・バヤデール』と花村バレエの『くるみ割り人形』は休憩を挟まず続ける。つまり『ラ・バヤデール』の後でダメ出しはしない。すべて通し終わった後に、まとめてダメ出しをする『ラ・バヤデール』『くるみ割り人形』『ドン・キホーテ』とノンストップで通すということだ。


 あやめが全員に対して、

「それではリハーサルお願いします」

 と言うと、出演者全員が、

「お願いします」

 と声をそろえた。

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