第311話 リハーサル『くるみ割り人形』『ドン・キホーテ』

 山野美佐子やまのみさこバレエスタジオのリハーサルが一通り終わり。花村バレエの生徒のリハーサルが始まる。山野バレエの生徒たちが教室の鏡の前に座る。

 緊張気味の沖本心おきもとこころ三杉桂みすぎかつらたち。佐和は平常心という感じだ。男子二人は踊りたくてたまらないという雰囲気だ。ゆいや真由はキャンディを踊れることが嬉しくてたまらないという感じで準備している。

 踊る順番は、すみれと美織みおりが考え、大きな流れとしては『くるみ割り人形』の踊りを踊った後、続けて『ドン・キホーテ』の踊りを踊るという流れだった。


 優一が『ドン・キホーテ』の一幕の『バジルとキトリの友人の踊り』を踊る。これが『ドン・キホーテ』の一曲目になる。優一は『ドン・キホーテ』の、この踊りと最後のグラン・パ・ド・ドゥを踊るがこの二曲は同じ衣装で踊ることにした。優一が『くるみ』の作品で踊るのは『あし笛の踊り』だ。美織が『くるみ』キャンディでジゴーニュおばさんを演じる、そして、彼女は『ドンキ』のドルシネアとメルセデスを、すみれと交互に踊る予定だ。

 衣装を着替える時間などを考え『くるみ』は全幕の並びと順番を変えた。

『キャンデイボンボン』『あし笛の踊り』『トレパック』『中国の踊り』『金平糖の精』の順番、そして『ドンキ』は『キューピッドの踊り』『バジルとキトリの友人』『キトリの第一幕のヴァリエーション』『メルセデス』『ドルシネア』『キトリとバジルのグラン・パ・ド・ドゥ』の順番で踊る。


 小学生や中学生は何度かお互いにそれぞれの稽古場で踊ったこともあり、花村バレエの生徒も山野バレエの稽古場に慣れていたが、ゆいや真由はここで踊るのは初めてだった。

 少し普段よりテンションが上がっている小さな子どもたちに美織が、

「いつも通りね」

 と声を掛けると、

 子どもたちは元気に手をあげて、

「はーい」「はーい」「はーい」

 と返事をする。その姿が可愛らしく、前で見ている山野バレエの生徒や見学席にいるお母さんたちから微笑みがこぼれる。

 すみれや瑞希みずきもキッズクラスの子たちに微笑む。


◇◇◇◇◇◇


 稽古場の鏡の前には花村真理子と山野美佐子が並んで何か話している。あやめと詩保がその隣で話している。リハーサルは本番の順番通りということで『キャンディ』から踊る。唯や真由と一緒に美織も準備する。

 その後続けて『あし笛』ということで既に、佐和、玲子、優一が準備している。鏡の前に、すみれがやって来た。デッキに瑞希が付く。

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