第27章 山野美佐子バレエスタジオと合同練習

第306話 文化イベントの二日前 山野美佐子バレエスタジオで

 文化イベントの数日前、一緒に文化イベントでバレエの出し物をする山野美佐子やまのみさこバレエスタジオの山野詩保やまのしほから合同練習の申し出があった。

 真理子とあやめは快く、その申し出を受けた。真理子がすみれや美織みおりに合同練習の事を伝えると、すみれたちも一緒に練習しましょうという返事で本番前の二日間でリハーサルをすることになった。一日目は山野美佐子バレエスタジオ、二日目は花村真理子バレエ研究所でリハーサルをすることになった。


 一日目、山野美佐子バレエスタジオに、花村バレエの今回出演するメンバーが訪問する。すみれと美織みおり、優一、瑞希みずきがスタジオに入って来ると歓声が上がった。その日は山野美佐子バレエスタジオの生徒も、文化イベントに出演する生徒だけでなく、小さな子どもたちから大人クラスまで、ほとんど生徒全員がスタジオに集まっていた。そして、更に、たくさんの小さな子どもたちのお母さんまで見学に来ていた。


 合同練習は主催者の山野美佐子も、すみれや美織に踊りの指導をしてもらいたいというのが大きい目的の一つだった。それは真理子、あやめばかりでなく、すみれや美織も理解していた。

 リハーサル前のバーレッスンもすみれたちにお願いしたいという希望があり、すみれが受け持つことになった。


 レッスン前のウォーミングアップ、ストレッチを始めると、すみれたちの体の柔軟さに、フロアにいた生徒たちと見学席がどよめく。バーレッスンからセンターレッスンまでは、今回、文化イベントに参加しない生徒たちも参加した。


 山野バレエの生徒で、以前、花村バレエで美織と優一がバレエフェスティバルのリハーサルをしたとき観に来ていた生徒も全員参加している。他にもバレエ協会の講習会に来ていた生徒たちもたくさんいる。

 どちらにも参加していた中学生の恵梨香えりかと由美の姿もある。二人は花村バレエの松井佐和と同級生だそうだ。


 バーレッスンでは、皆、すみれや美織、瑞希の美しい姿に見惚みとれるような視線を向けながらレッスンを受けていた。

 センターレッスンでは、見学席から感嘆の声が漏れるような場面が何度もあった。

前で見ていた山村美佐子も驚くような表情で、すみれたちを見ながら真理子と話をしていた。


 バーレッスンとセンターレッスンを終え、リハーサルをする生徒は、その後、すみれがもう一度、ポワント(トゥシューズ)を履いて、バーとセンターで足を慣らす。

 今日の練習は普段の稽古着で一回、衣装を着て一回、踊りを通す予定だ。


 最初に山野バレエの『ラ・バヤデール(バヤデルカ)』の『かげの場』からヴァリエーションまでを通し。その後、花村バレエの『くるみ割り人形』(抜粋)『ドン・キホーテ』(抜粋)を通す。


 山野美佐子バレエスタジオの『かげの場』を踊る生徒たちが緊張した表情で準備する。

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