第274話 発表会で『ワルプルギスの夜』を踊った
「私も『ジェンツァーノ』好きよ。そうそう、そう言えば、今、ゲストで来てる
「あ、私も聞きました。きっと素晴らしい踊りになるんでしょうね」
「頑張ってるよ。あの二人も。それと園香ちゃんたちが踊ったのは『ワルプル』か……いいね。私も『ワルプル』大好きだよ。なんか、独特の世界に引き込まれるみたいで。シャルル・グノーの歌劇『ファウスト』の中の『ワルプルギスの夜』ね」
こうして話をしているとつくづく思うのは、瑞希もそうであるが、美織とすみれは本当に踊りをたくさん知っている。二人は知識として知っているとか、レッスンの中で練習したことがあるということではなく、舞台で踊った踊りとして知っている。あらゆる踊り、作品に対する経験値が半端ではない。
二人と話していると会話に出てくるほとんどの作品を踊っているようで驚く。
美織の言葉に園香が続ける、
「私も『ワルプル』好きなんです。なんか夏っぽいイメージがあるんですよね」
園香の言葉に、後から来た真美が言葉をはさむ。
「あの『ワルプル』って、なんか、着てる衣装と、夜の森の中で妖精や悪魔たちが、お祭り騒ぎしてるみたいな設定が、なんか夏祭りっぽいんちゃう?」
すみれと美織も微笑みながら隣で聞いている。真美が立て続けに聞いてくる。
「私も『ワルプル』好きやで。ところで、どういう配役やったん?」
「主役は佐和ちゃんと玲子ちゃんがダブルキャストでやったの」
「へえ『あし笛』の二人がやったんや。あ、ちなみに、あれ、バカンテやな、バッカスの
「ああ、バッカスは
「
「え、淳一?」園香はゲストで来てくれた先生を呼び捨ての真美に少し驚いた。
「え? 同級生やで、あいつ、私らと」
「え、ああ、それは知ってた。あれ、淳一さんは宮崎先生とこじゃなかったよね」
「大阪の
「
「おう、すごいな。厳しかった?」
「え、優しかったよ」
「え、そうなん。私らには、なんか厳しいけどな。厳しいというか、雑というか……」
聞いていた美織とすみれが笑う。
「雑なの?」
「まあ」すみれの問いかけに困った顔をする真美。
「あ、今度、真美ちゃんと『スペイン』踊ってもらう予定の
と、すみれが笑いながら言う。すみれや
「あ、ありがとうございます」
真美が笑いながら、すみれに微笑むが、真美の驚きは、すみれたちに見透かされていたようだ。
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