第264話 終曲のワルツから

終曲のワルツ


 第二幕お菓子の国の場に出演していたダンサー全員で踊る場。

 華やかな曲だ。最初に『花のワルツ』のダンサーが踊る。花村バレエのダンサー、美織みおり、すみれ、瑞希みずき古都こと、優一とげんも入って踊る。

 その後、奈々、真美、のぞみたち『スペインの踊り』のダンサーから『アラビアの踊り』あやめととおるが踊る。

 チェレスターのオルゴールのような音色で『中国の踊り』のこころかつら寿恵としえが可愛らしい人形のように踊る。

 曲が変り『トレパック』のいつきひかる信也しんやが飛び出してくる。続いて『あし笛』の佐和と玲子としずかが美しい踊りを見せる。

 そして、可愛らしい『キャンディ』の子どもたちが舞台に現れ踊る。

 様々な民族衣装とワルツの美しいドレス。豪華絢爛な舞台に、金平糖の精の園香そのかと王子の恵人けいとが登場する。第二幕に出演したダンサー全員が踊る舞台は咲き誇る花の様だ。

 舞台中央で王子・恵人が金平糖の精・園香をリフトし、周りの全員が称える様にポーズを取ったところで『お菓子の国の場』が終わる。


◇◇◇◇◇◇


 ここで一旦、舞台が暗転。


◇◇◇◇◇◇


 朝日が射すように舞台に照明が入る。


 舞台はシュタールバウムの屋敷の広間。


 広間の中央でくるみ割り人形を抱いて眠っていたクララ・由奈ゆなが目覚める。

 人形を見つめるクララ。終幕の曲に合わせ、もう一度、人形を強く抱きしめ、朝日の中で人形を称え上げるように見つめるクララ。


 舞台の幕が閉じる。


◇◇◇◇◇◇


 衣装係の由香と一花いちかが微笑み合う。

 真理子、青葉あおば、周りにいた青山青葉あおやまあおばバレエ団のダンサーも惜しみない拍手を送った。見学席で手伝っていたお母さんたちの中には涙を見せる者もいたが、皆、大きな拍手をした。


◇◇◇◇◇◇


 ワルツのダンサーの中で、げんと優一の二人は『終幕のワルツ』のワルツダンサーの踊りが終わった後、すぐに舞台からハケてドロッセルマイヤーと、ねずみの王様の衣装に着替えた。


◇◇◇◇◇◇


 そのまま舞台で行うルベランス(お辞儀)の練習をする。


 ワルツのダンサーがお辞儀をする。

 ワルツダンサーの後、第一幕しか出てなかった出演者たちが呼ばれお辞儀をする。ここでねずみの王様に着替えたげんが、第二幕に出てなかった、ねずみと兵隊人形、客人たちとともに出てくる。

 続いて『スペインの踊り』『アラビアの踊り』『中国の踊り』と順番にお辞儀をする。ワルツの衣装を着た美織みおりが手を引くようにして『キャンディ』の子どもたちが出てきてお辞儀をする。


 そして、ドロッセルマイヤー・優一が登場しお辞儀をした後、クララ・由奈、金平糖の精・園香、王子・恵人を呼び、四人でお辞儀をする。

 もう一度、クララ・由奈とドロッセルマイヤー・優一がお辞儀をし、金平糖の精・園香、王子・恵人がお辞儀をする。


 徹が皆に告げる様に言う、

「ここでドロッセルマイヤーの優一君が真理子先生、青葉先生、指揮者の恵那さんをお呼びします。先生方、よろしくお願いします。恵那さんは、おそらくここでオーケストラの全員にお客様に挨拶するよう促すと思います。そして、最後のお辞儀に入ります」


 由奈と優一、園香と恵人が、それぞれ二組に分かれて舞台の両袖につき、全員が一歩前に出てお辞儀をする。

 全員が一歩下がり、由奈と優一、園香と恵人が舞台中央に戻ってきて、出演者全員でお辞儀をしたところで幕が閉じる。

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