第253話 休憩時間 真美
第二幕のトレパックの衣装を身に付けた男子三人。由香にブーツの具合を聞かれ、
「踊りやすいです」
と言って、ジャンプして見せていた。
その
今回の『スペインの踊り』は奈々と
そんな中で、考えてみると、どこか噂ばかりが先行して、実のところ真美がきちんと一つの踊りをリハーサルで見せるのはこれが初めてだった。
「
という一言で、真美のパートナーを
突然『スペインの踊り』を踊ることになった
「真美さんって、宮崎バレエのすごい人ですよね。優一さん『スペイン』踊ってくださいよ」
と言うが、
「真美ちゃんに『スペインの踊り』勉強させてもらえよ。おれはドロッセルマイヤーがあるから」
と優一から笑顔で突き放される。
「ドロッセルマイヤーって、二幕は関係ないでしょう」
と言う
「
と追い打ちをかけられた。
真美はまったく聞こえてないかのようにスペインの振りを復習する。
目線、肩のライン、首すじ、後ろを向き顔だけ振り返る様にした時の背中の見せ方……
すべてが完全にスペインの踊りのラインに入っている。
まだ、振り付けられたばかりで、細かい表現のアドバイスなど何もないのに、一つ一つの細かい部分、見せ方、表情に、何か引き込まれるようなものを感じさせられる。
すみれ、
園香は、真美の姿に、関西の名教師宮崎美香の
彼女はプリンシパルレベルのダンサーだ……
この立ち姿だけで、八月に大阪で見た、どのバレリーナより
「そうは言うても、私はすごいけどな」
そう言った真美の言葉を思い出す。
彼女の言葉は冗談交じりに言う言葉も多いが、その言葉は自信があってこその言葉のように思えた。
園香が真美と初めて会った頃、彼女は自信を失くして一度はバレエをやめたと言っていた。しかし、今の彼女は、また、その自信を取り戻しているように思えて園香は嬉しかった。
そして、今は名門
ここにきて、改めて彼女は間違いなく本物だと思った。
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