第251話 休憩時間 園香、由奈、恵人
休憩時間になり、衣装係の由香が兵隊人形たちのところに行き衣装のチェックをする。その後、三体の人形のハレルキン、コロンビーヌ、ムーア人の、
子ねずみの衣装を着た
「子ねずみちゃんたち。かわいかったね。衣装は踊りにくかったとことか、なかったかな?」
由香が微笑みながら聞くと、
「はーい」「はーい」
と元気に答える。由香と
◇◇◇◇◇◇
「由奈ちゃんも、園香ちゃんも、舞台で走り始めるときの一歩目さあ、なんとなく走り始めるんじゃなくて、目線、顔の角度は、この角度。喜びとか嬉しさがこぼれる感じで走りだしてくれないかな。王子様と踊るんだよ。なにか用事を思い出して慌てて走りだすんじゃないんだよ。一歩目をもっと大事にして」
そう言って、すみれがやって見せてくれる。それは魔法が解けた王子と踊れることを体いっぱいで表現したような走りだし方だった。由奈と園香も、すみれが見せてくれたようにやってみる。
すみれが微笑みながら、
「そんな感じかな。一歩目の動き出し方に、その動きに表情を付けて、客席の後ろの方からじゃ、細かい顔の表情なんて見えないんだから、体全身で見せる表情、オーラっていうのかな。そういうものを大切にしてね」
「はい」「はい」
その後、園香と由奈は指摘された箇所を何度か踊ってみた。
二人は、すみれから、
リフトされた時の体の引き上げや、基本的なところは、常に意識して踊る様に言われた。
園香と由奈は恵人にお願いして二人で踊るところを、もう一度、細かく確認した。恵人はそれぞれが不十分なところを何度も一緒に練習してくれる。すみれもずっと
「いいよ。段々よくなってる。園香ちゃんと由奈ちゃんは、お互いに、お互いの踊りを見ながら、年とか関係なく二人で注意し合いながらやっていこうね」
「はい」「はい」
「そこは、また後で練習しよう」
「はい」「はい」園香と由奈が返事をする。
すみれが恵人の方に目線を向ける。
「恵人も、わかった? あなたも、たまにしか来ないんだから、来た時は、きちんと感覚を覚えときなさい」
「はい」
すみれの言葉に恵人が頷く。
「じゃあ、二幕の準備をして」
そう言って、すみれが微笑む。
気が付くと第二幕のキャンディの衣装に着替えた
「あら、唯ちゃん、真由ちゃん、キャンディかわいいねえ」
二人の頭を撫でると、唯と真由が嬉しそうに微笑む。
すみれは
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