第247話 九月通しリハーサル第一幕 クララとドロッセルマイヤー

 この場面を演じる男の子役、女の子役は小さい子はキッズクラスのゆいたちから小学生、中学生までが演じる。小学生の高学年女子や中学生女子の一部の生徒の中には男の子を演じる者もいる。

 高校生から大人クラスのレッスン生は主に大人の客人を演じる。高校生のレッスン生の一部の生徒の中には男性役を演じる生徒もいる。


◇◇◇◇◇◇


 三体の人形の踊りが終わった後、ドロッセルマイヤーが子どもたちにクリスマスプレゼントを渡します。プレゼントをもらう子どもたち。

 ドロッセルマイヤーが『くるみ割り人形』を取り出しますが、子どもたちは皆その人形を受け取ろうとしません。女の子たちは人形を気味悪がり、男の子たちは人形をからかいます。


 困ったドロッセルマイヤー。そんな中で、一人の女の子が人形に興味を持ちます。クララです。クララはドロッセルマイヤーに、その人形が欲しいと懇願します。

 ドロッセルマイヤーは少し考える様にして、もう一度クララに目を向けます。この子は本当に『くるみ割り人形』を大切にしてくれるのだろうか。そう思いながらクララを見つめます。

 クララは人形が欲しいという思いをドロッセルマイヤーに伝えます。ドロッセルマイヤーは『くるみ割り人形』をやさしく抱きしめるようにしてクララを見つめます。

 まっすぐにドロッセルマイヤーを見つめるクララ。ドロッセルマイヤーはクララに微笑み人形をプレゼントすることにします。

 この子はきっと人形を愛し大切にしてくれる。そう思ったからです。ドロッセルマイヤーはクララに人形を手渡します。

 クララは『くるみ割り人形』をもらい喜びます。


 クララを演じる由奈ゆなとドロッセルマイヤーの優一の二人の演技が優しく。周りで見ている園香そのかや奈々、お母さんたちは舞台の観客になったように二人の演技を見入ってしまった。

 この場面は、すみれが指導していたのを何度も見ていた。今日もすみれは厳しい目線で由奈を見ている。美織みおりも由奈の演技を見つめている。

 この作品の中で、クララが『くるみ割り人形』を手にする場面だ。作品全体の中でも印象的な場面だ。


◇◇◇◇◇◇


 そこへフリッツがやって来て人形を奪い取ろうとします。乱暴なフリッツと人形の奪い合いになったクララ。フリッツが人形を引っ張り、人形の腕が取れてしまいます。

 人形が壊れてクララは悲しみます。ドロッセルマイヤーはフリッツを叱ります。


 人形が壊れて泣くクララ。ドロッセルマイヤーが人形を直してくれます。クララは人形を大切に抱きしめます。


 クララ役の由奈の演技が日に日に良くなっているのが園香の目にもはっきり分かる。クララが『くるみ割り人形』を大切に思う気持ちがよく伝わってくる。


◇◇◇◇◇◇


 パーティーが終わり、クララたちシュタールバウムの一家は、帰る客人たちを見送ります。皆を見送った後、クララも自分の寝室で眠ります。


 その夜、目が覚めたクララは『くるみ割り人形』をパーティー会場だった大広間に忘れてきたことを思い出し、人形を探して皆が寝静まった屋敷の大広間に向かいます。

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