第229話 喫茶店エトワールで 深山純華
「
「……」
「名前ぐらいは聞いたことがない? 伝説のバレリーナよ。 テクニック、表現力、すべてにおいて完璧だった……国際コンクール入賞から海外のバレエ学校、バレエ団に入団しプリンシパルになったバレリーナ、神様みたいな人よ」
園香は驚いて、
「でも、古都さんも」
と言いかけると首を振りながら、、
「私にとっては大先輩なの、年はそれほど変わらないけど、私にとっても、すみれにとっても、
「そんな人がいたんですね」
真美が古都を見つめながら、
「私、その方のこと、名前は聞いたことがあります。美香先生から聞いたことがあるんです。今も海外にいらっしゃるんですよね」
「そう、スイスよ。今も活躍されているわ」
「ローザンヌですか?」
と園香が聞くと、真美が横から、
「サンガレン……ザンクト・ガレン……そんなとこやったと思うで」
「ふうん、スイスって、今度、
「それはブルガリアやと思うで、スイスよりだいぶ東の方やな。なんか、園ちゃん、イギリスとかフランス以外ごちゃごちゃなんちゃうん」
ごちゃごちゃ以前に、最初からあまりよくわかっていなかった。隣で
「まあ、どちらも綺麗なところよ」
と古都に変なまとめられ方をした。
「
「そうなんですね」
「
園香は今回ゲストとして来てくれている
確かに最高のバレリーナには違いないが、すみれや古都の上に、更に彼女たちが尊敬する偉大なバレリーナがいたということに改めて
◇◇◇◇◇◇
そんな話をしていると、向こうの方で、すみれと美織が
それに気付いた園香が真美に目配せする様に、
「真美ちゃん、すみれさんと美織さん」
「ああ、文化イベントの話かな」
「いや、そうかな……私、さっきの事を話してるんじゃないかなって思って」
「え」
「さっきの『スペインの踊り』のこと」
「ああ、そうかな」
「なんか、そんな気がする」
「どうしよう、奈々ちゃん、途中から私が入るってなったら、機嫌悪くならんかな」
「それはないと思うけど」
「そうか、じゃあ、私その話、受けてもいいかなあ」
「いいと思うよ。それに、真美ちゃんにどこかでもっと踊ってもらいたいというのは、奈々も含めて、みんな思ってることだから、奈々も悪くは思わないと思うよ」
そうして、しばらく話をしながら食事をして、明日も午前中から練習があるということで、喫茶店エトワールを後にした。
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