第227話 喫茶店エトワールで 寿恵
一通り文化イベントの段取りが出来上がった後、すみれと
四人とも
寿恵は薄いピンクのTシャツに、ふわっとした白いスカートという出で立ちだ。
「園香さん、真美さん、さっきまで、すみれさんと美織さんと何を話してたんですか?」
寿恵が興味深々という感じで聞いてくる。
「来月、文化イベントがあって、そこにうちのバレエ教室がバレエの作品で参加するの。それに何の作品で参加するか話してたの」
「ええ、すごい。楽しそうですね『くるみ』じゃない作品で参加するんですか?」
「いえいえ、今回の『くるみ』の第二幕のディベルティスマンからもいくつか踊るよ。『くるみ』と『ドンキ』から抜粋する形になるみたい」
「面白そう。そういうの、私も出てみたいなあ」
寿恵の素直さと無邪気な感じが、普段の稽古場の雰囲気と違い新鮮な感じがする。
「寿恵ちゃんは、この『くるみ』の他に何か次の舞台が決まっているの?」
園香が聞くと、
「私はこの『くるみ』の前に
「へえ『ジェンツァーノ』踊るの、きっと寿恵ちゃんが踊るとかわいいんだろうね」
「静と踊るんですよ」
「へえ、みんなすごいね。いろいろな舞台で踊って、バレエ学校の発表会っていうのがあるんだね」
「そうなんです。バレエ団の公演とは別に、バレエ学校に通っている生徒たちで発表会をするんです。これはキッズクラスから大人クラスまでの生徒と、高校生以下のバレエ団員が出演できるんです」
「へえ、じゃあ寿恵ちゃんや静君は団員だけど高校生だから出るんだね。恵人君とか希君は出られないんだ」
「まあ、そうなんですけど男性はバレエ団員でも、一般的なバレエ教室でいうゲストダンサーみたいな感じで、パ・ド・ドゥのパートナーとして出演することもあるんですよ」
「そうなのね」
「だから、恵人さんと希さんも出演するんです」
「いいなあ。青山青葉バレエ学校の発表会見に行きたいなあ」
「ええ、でも、園香さんたちも文化イベントで踊るって……」
「あ、まあ、そうだね。きっと、同じ頃なんだよね」
園香は寿恵に対して、今どきの高校生という感じであまり相手にしてくれないかと思っていたが、東京の
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